国土交通省の2019年度の概算要求が明らかになった。海事局関係では昨年6月にまとまった新産業政策「内航未来創造プラン」に基づき、内航海運活性化の推進、次代を担う人材の確保・育成、国際海事機関(IMO)などの動向を踏まえた海上安全・環境対策の推進などが要求に盛り込まれた。
 内航海運は国内貨物輸送の44%、産業基礎物資輸送の約8割を担うわが国の基幹的輸送インフラだが、一方で多くの課題を抱えている。その解決に向けて「内航未来創造プラン」が策定された。
 内航海運業界は中小企業が多く、事業基盤は脆弱である。それをカバーする施策の一つとして「登録船舶管理事業者制度」が今年4月から始まった。船舶管理会社が第三者機関から統一的な評価を設けることで質の高いサービスを提供し続けられるようにし、顧客の不安払拭を図るのが狙いだ。現在11の事業者が登録されているが、制度の効果分析を行い、船舶管理事業者活用のメリットの理解や、さらなる利用の促進につなげる。船員の荷役作業の負担軽減に向けた調査も含めて3500万円を予算要求した。
 船員不足への対応策も急がれる。内航海運に携わる船員数は15年に2万258人と約10年間で7%減少した。50歳以上の船員が5割を超え、60歳以上が約25%、65歳以上の船員もいる一方、今後の操船の担い手となる30~40代が少ない。そこで次世代の海事人材の確保・育成のために88億2800万円を予算要求している。例えば若年船員を雇用・育成した事業者への支援のほか、民間養成機関で短期に6級海技士資格を取得できる課程について、社船実習に要する費用の一部助成などを掲げている。船舶にかかわる独自の技術を身につけるため、こうした支援策が有効に生かされることを望みたい。
 地球環境問題への対応も重要だ。IMOでの決定を経て、20年1月から船舶の燃料油に含まれる硫黄分の濃度規制値(現状3・5%以下)が0・5%以下へと強化される。0・5%以下の低硫黄燃料油の使用を進めるため、ガイダンスの策定および燃料転換の実証、内航海運事業者における燃料サーチャージガイドライン(仮称)の策定、スクラバーの円滑な搭載に向けた工事期間短縮の実証などを要求に盛り込んだ。
 内航海運は国内物流の約4割を担っており、わが国の経済活動を支える大動脈として重要な産業である。国交省は課題解決に向けた予算を確実に獲得し、実効を挙げるべく取り組みを進めてほしい。

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