原油・ナフサ価格の上昇を受けて、化学各メーカーが主要な石油化学製品の価格改定に乗り出している。7~9月期のナフサ価格(国産基準ナフサ価格)は、4~6月期の1キロリットル当たり4万8700円に対して同1万円程度値上がりし、同6万円に近付くと予想されている。石化セグメントのコストアップが企業業績に与える影響を緩和し、市場にポジティブなメッセージを送るためにも、各メーカーには円滑な価格改定の遂行が求められよう。
 石化セグメントの収益は2015年度以降、世界的な需給環境の好転によって極めて堅調に推移し、化学各メーカーの業績を支えてきた。一方で、もともと18年度からピークアウトするとの観測が強くあり、主要企業の株価は年初から下落傾向で推移した。9月以降、株価はいったんは持ち直したものの、原油価格の急騰をはじめとするコストアップ要因や、これまで大きな利益を稼ぎ出してきた一部の大型製品の市況下落観測などが加わり、ここにきて再び冴えない動きとなっている。
 足元で原油市況は反転下落したものの、ナフサ価格との連動性の高いブレント原油の先物価格は、いぜん春先の安値水準に対し25%程度高い1バーレル当たり80ドル前後の高値を付けている。先行きについては、原油市場や国際情勢をめぐる変動要因が多いことから予測が困難だが、同80ドル程度の水準が今後も続けば石化セグメントは大幅なコストアップとなり、減益が免れない情勢だ。
 アジアスポット市場におけるナフサと基礎原料エチレンとのスプレッド(価格差)は、足元で1トン当たり500ドルを下回っており、13~14年ごろの水準にまで縮小してきた。これは需給環境をマクロで捉えた場合、15年以降続いた石化の好況期が終焉した-と市場関係者が判断する材料となり得る。こうしたなか化学企業は、価格改定を円滑に完遂することで、ネガティブな要因を少しでも払拭するべきだ。
 一方で、国内価格の上昇は、為替レートの円安シフトなどによって沈静化していた輸入品との競合を再び激化させる可能性がある。7~9月の国産ナフサ価格に見合う水準まで国内価格の改定が進んだ場合、汎用樹脂など一部の製品では輸入圧力が強まるとの声もある。日本へ製品を輸出する場合に発生する各種のコストを勘案しても、その他の市場で販売するより有利となるラインに達する可能性があるためだ。さらなる高付加価値製品の販売比率の拡大など、輸入品の増加に備えた対策も必要といえよう。

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