プラスチック加工業者で構成する全日本プラスチック製品工業連合会が今年7~9月期に行った調査によると、当面の経営上の問題点として、採用難や人材育成といった人手不足に関する課題を挙げる企業が前期より増えた。アンケートからは「他社が技能者不足で移管される案件が多くなってきた。この5年くらいで後継者有無の差が出そう」「後継者不在の事業所で廃業するところが出てきている」など切迫した状況が伝わってくる。プラ加工業者は中小企業が多く、労働条件も厳しいことから若い人材を確保することが困難な状況が続いている。
 そうしたなか外国人労働者の受け入れが重要な課題となっている。外国人技能実習制度は、途上国などの外国人を日本で一定期間受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度だ。技術の海外移転が目的とされているため実習後は帰国しなければならないが、労働力不足が懸念されるわが国では、重要な働き手として期待されている。雇用者側から就労できるよう見直しを求める声もあって、滞在期間は従来の3年間から現在は5年に延長された。さらに外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案が13日、衆院本会議で審議入りした。外国人労働者にとっても受け入れ側にとっても良い関係が構築できるような制度の整備を目指し、十分な議論を尽して欲しい。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポートによると女性や高齢者の労働参加率が上昇していくことで、労働力人口は2023年まで増加基調が続くとしている。24年には減少に転じるが、減少ペースは緩やかという。だが出生数の減少による少子高齢化は避けられず、女性や高齢者、外国人の労働力にも頼らざるを得ない状況となるだろう。
 年金の支給開始年齢は原則65歳(1961年4月2日以降生まれ)。一般的なサラリーマンが需給できる月額は16万円程度とされる。老後の生活費は夫婦2人で月25万円以上は必要とされており、到底及ばない額だ。年金の受け取り開始を70歳まで遅らせれば約4割増えるが、政府は受給開始年齢の上限を70歳以上に引き上げることを検討している。高齢者が長く働き、年金を受け取る時期をできるだけ遅くしてもらう、緩やかな着地点を想定しているようだ。働く側にとって、ますますゴールは遠のくばかりだが、労働力不足を補うことに加え、ベテランの技能を生かせるといったメリットもある。一方で若者の働く機会を奪ってもいけない。持続的発展に向けて、政府には十分な検討を期待したい。

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