化学品商社が新たな試みに取り組んでいる。各社の2018年度決算は、基礎化学品の好調などに支えられて多くの企業が好業績を達成したが、今後の国内外の情勢を予測すると、米中貿易摩擦の影響や中国経済の停滞、消費税の10%への引き上げによる国内景気の低迷予想などが今後の景気に影響を及ぼすことが見込まれている。
 このような状況下、近年は各社ともインドや東南アジアなどの新興国をはじめとする新市場の開拓や、EV(電気自動車)の普及およびADAS(先進運転支援システム)、自動運転などの進化によって拡大が見込まれる自動車を中心とするモビリティー市場に力を注ぐほか、IoT(モノのインターネット)普及にともなうエレクトロニクス産業への展開、医薬関連市場へアプローチ、さらに製造・加工機能の強化、そして、それらを強化するための事業提携・M&Aなど、生き残りへのさまざまな施策を打ち出している。
 代表的な動きを見てみよう。長瀬産業は、エレクトロニクス事業で米3Dグラスソリューションズに出資し、5G通信規格に対応した高周波製品を展開する考え。ライフ&ヘルスケア事業では、ナガセホールディングスアメリカが、食品素材などの販売、加工、最終製品の受託製造を行う米プリノヴァグループを買収している。
 また稲畑産業は、3Dセンシングに関わるハードウエア・ソフトウエアの設計・カスタマイズを行う台湾のLIPSと覚書を締結した。同社を戦略的パートナーとして、3D深度カメラをはじめとする各種ソリューションを国内およびアジア市場を中心に提案する方針。
 CBCは、18年に電子部品・材料の信頼性評価を手掛けるクオルテック(大阪府堺市)に出資。今後、EV(電気自動車)などエコカーなどに搭載されるパワー半導体の評価事業を推し進める。今後、クオルテックの微細レーザー加工技術を生かして、信頼性試験以外の事業展開も計画しているという。
 KISCOは、製造子会社の第三化成およびSpecialty Coating Systemsで展開している生体適合性、絶縁性に優れた超薄膜パリレンコーティングビジネスが好調。今年4月には「かずさパリレンコーティングセンター」(千葉県木更津市)を設けた。
 化学品商社には100年を超える歴史を持つ企業も少なくない。これからも長年培った貴重なネットワークやノウハウ、人材を生かし、化学品だけにとどまらず新たな分野や市場への挑戦を続け、国内外の産業発展に貢献することを期待したい。

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