北米で大型エネルギー・石化プロジェクトが復活している。日揮はシェルが中心となってカナダ西海岸に建設するLNGカナダを5月に受注、千代田化工建設はエクソンモービルが米メキシコ湾岸で推進するヨセミテ計画の中核であるエチレンプラントを7月に受注した。日揮は2019年に最終投資決定される米西海岸のジョーダンコープLNGの受注を17年に決めており、千代田化工建設も今期中に米国の大型LNG(液化天然ガス)プラント受注を決めたいとしている。日揮は16年度、千代田化工建設は17年度、それぞれ米国の大型プロジェクトで巨額の損失を発生させている。同じ轍を踏まないために、失敗から何を学んだかが問われる。
 両社に限らず16、17年度には多くの日系エンジニアリング企業が米国プロジェクトで損失を発生させた。人件費の高い米国で巨額プロジェクトにおける建設工事の遅延は、1日当たり数千万円規模のコストアップにつながる。台風など天候は不可抗力といえるが、パートナーを組んだ米国建設会社の生産性の低さは予想もしなかった悪化要因となった。
 米国の失敗から得た教訓は、リスク管理とプロジェクトマネジメントの徹底ということになる。千代田化工建設が実施した北米の2件のLNGプロジェクトのリーダーはパートナーのCB&Iだった。CB&Iの財務状況の悪化も把握していなかった。「プロジェクトを厳格に管理するにはリーダーにならなければならない」というのが同社の結論だ。日揮も同様にフルアに過度の信頼を寄せていたために、工事の遅延に対して有効な対策を打てなかった。
 実力あるパートナーを得ることと、プロジェクト管理に責任を負える体制を構築することが成功のカギとなることは分かった。日揮はジョーダンコープLNGで、千代田化工建設はヨセミテ計画で、パートナーにともに米建設会社のキウィットを選んだ。日揮はLNGカナダではフルアと共同で遂行するが、提携する中国の造船企業を活用してモジュール工法を全面的に採用することで、現地での作業量を減らす。また米国の中堅エンジニアリング会社との協業も決めており、プロジェクト規模に応じて柔軟な対応をとる。
 日系エンジニアリング各社が13~14年に相次ぎ米国でプロジェクト受注を発表した時は「エンジニアリングの聖地に参入」という高揚感があった。パートナー企業に対する遠慮や気後れもあったと想像されるが、今回は堂々と主張すべきを主張してプロジェクトを成功に導き、日本の実力を示してもらいたい。

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