ファインケミカル各社がバイオ・メディカル分野で事業拡大に拍車を掛けている。産学連携やバイオベンチャーといった外部との協力体制を構築することで、得意とする高分子技術などを生かした共同研究・開発を加速しているもの。医療・健康関連産業は景気動向に左右されにくく、付加価値の高い安定的な市場として有望だ。各社とも新たな柱として育成すべく経営資源を積極的に投入している。
 三洋化成工業は、抗がん剤開発のバイオベンチャー企業、デルタフライファーマ(DFP、徳島市)の第三者割当増資を引き受けた。DFPは患者の身体的・経済的負担が少ない抗がん剤の実用化を進めており、ドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いた新規抗がん剤の開発に力を注いでいる。DFPが保有するDDS技術と、三洋化成が保有する高分子技術を融合させて開発を進めてきたが、さらに取り組みを加速するため共同開発契約を締結した。成果物の第1弾に関しては、今年中に米国で臨床試験に入る予定となっている。
 三洋化成は、昨年4月にバイオ・メディカル事業本部を設置しており、潰瘍性大腸炎の体外診断用医薬品や外科用止血材、免疫分析装置専用検査試薬キットなど多様な製品を揃える。今後も既存ビジネスの枠を越え、DDSをはじめとした新たな事業を展開する考えだ。
 日本触媒は、糖鎖工学研究所(京都市)に追加出資した。両社は2014年度から、糖鎖修飾ソマトスタチンアナログに関する共同研究および共同臨床開発を実施。翌年度には関係強化を目的に、糖鎖工学研究所が実施した第三者割当増資を日本触媒が引き受けていた。今回、両社による共同研究および共同臨床開発の、さらなる促進を図るため追加出資した。これにより日本触媒は、糖鎖修飾ソマトスタチンアナログの早期実用化を支援するととともに、糖鎖工学研究所の事業展開に一層協力していく方針。
 MORESCOは、新たな中期経営計画においてメディカル材料分野を新製品開発の重点分野の一つと位置付けた。プロジェクトを立ち上げて専任の人材を配置し、神戸の先端医療産業都市内に位置するメリットを生かしつつ、大学などとの産官学連携を進めていく。
 医療分野は事業化への時間や経費がかかるうえ、人命に関わることから参入リスクが高い。ただ高齢化社会への対応や健康寿命の延伸は、日本の抱える重要な課題だ。社会的な貢献とともに、医療・健康関連産業の発展・成長において化学企業が果たす役割は大きい。

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