「国難をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書」を土木学会が発表した。その中でもとりわけ過去の国難災害についての参考資料に興味をひかれた▼まずリスボン大地震。1755年、ポルトガルの首都をマグニチュード8・5~9の大地震が襲った。建築物は壊滅的に崩壊、大火災の発生と巨大津波により9万人が死亡したと推定されている。その影響などで植民地拡大の勢いを削がれ、国力衰退の途をたどる▼約160年前の日本。M8・4の安政東海地震、安政南海地震が立て続けに発生、3万人が死亡した。それに安政江戸地震、江戸暴風雨などが追い打ちをかけ、求心力が低下していた幕府の終焉を早めたという歴史認識もある▼土木学会の推計では、南海トラフ地震が発生した場合、20年に及ぶ経済的被害などが1410兆円に上る。資産被害が170兆円、インフラの破損などにともなう経済活動の低迷で1240兆円だという▼ただ、15年以内に堤防や道路強化など有効な対策を進めれば、経済被害を509兆円軽減できるとする。昭和東南海および南海地震から70年以上が経過、気象庁も次の大規模地震の切迫性が高まっているという認識だ。「もり・かけ」や「米朝」も大事だが、われわれの国土・生命の安全・安心も切迫感をもって考える必要がある。(18・6・13)

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