厚生労働省は、1日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で、ステンレス片の異物混入が判明したモデルナ製新型コロナウイルスワクチンにかかわる調査結果などを報告した。異物混入ワクチン接種後に死亡した3例について2例で病理解剖を行い、いずれも死因は致死性不整脈だとした。日本における突然死の年間発生率と比較して、ワクチン接種母数での死亡率は妥当だとし、有効性や安全性への影響は低いという見解を示した。

 報告によると、38歳男性について、急性死にみられる特徴があったものの、ワクチンとの関連は不明とした。49歳男性については、脾臓(ひぞう)でワクチン接種にともなうリンパ濾胞の拡大がみられたが、死因となりうる心筋炎や心筋症、肺炎などはみられなかった。ワクチン接種による熱発が不整脈発症のトリガーとなった可能性は否定しないものの、因果関係は評価不能とした。

 国内の製造販売元である武田薬品工業は、自主回収に関する調査結果を公開した。混入した異物金属は、全て同じ組成であり、ほかの有害金属異物は混入が確認されなかった。また、注射による筋肉内への金属粒子混入に対する安全性については、外科手術による人工膝関節置換手術などと比較すると、混入量ははるかに少ないとし、外科手術が問題なく行われていることから健康や生命に危険を及ぼす可能性は低いとした。

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