汎用樹脂の値上げが樹脂加工メーカーの業績に影を落とし始めている。
 全日本プラスチック製品工業連合会がまとめた2018年4~6月期の会員景況感調査報告によると、生産・売上高は1~3月期に比べ「増加」が増えたが、一方で採算は「好転」が減り「悪化」が増えた。経営上の問題点も「原材料高」が51・8%と6・2ポイント増えた。原材料費の上昇分をカバーするために、その一部を製品価格に転嫁することで売り上げが増えてはいるが、すべてを価格転嫁できていないことから採算は悪化に向かっているものと考えられる。会員へのアンケートでは「7~9月はポリエチレンの値上げの打診があり、製品値上げに踏み切らざるを得ない状況になった」との回答があった。他方で「材料費、物流費、人件費が上昇しているが、製品価格への反映は難しく、厳しい状況にある」といった訴えもある。
 原油価格は今年4月から上昇に転じ、ナフサ市況も上値を追う展開となった。今年第1四半期(1~3月)に1キロリットル当たり4万7900円だった国産ナフサ基準価格は、第3四半期(7~9月)には5万5000円以上に高騰するとの見方が強い。ポリエチレンなどの汎用樹脂の値上げも広がっている。最大手の日本ポリエチレンに続いて6月4日にプライムポリマーが値上げを表明。6日には東ソーが打ち出した。
 原料価格の上昇によって樹脂加工品など最終製品も値上がりすることで、物価の押し上げ圧力は強まるが、悪性インフレに向かう可能性もある。大手企業の賃上げは実行されつつあるようだが、個人消費の増大につなげるためにも中小企業の賃金アップ、年金・介護といった老後の不安解消、教育費の低減といった課題を解決するような政策が求められるだろう。
 また今回の調査では人材不足に関する意見も多かった。経営上の問題点のうち「人件費高」「採用難」「技能者不足」「技術力不足」「人材育成」といった項目は、いぜん高い数字を示している。「パートの採用難が続いている。採用しても1~2カ月で辞めてしまう。費用もかかるので募集頻度も調整している」といった声もあった。今夏は酷暑のなかで、厳しい作業条件を強いられる現場もあろう。働き方改革が求められるなか、行政も含めて知恵を出し合う必要がある。
 さらに最近注目され始めているマイクロプラスチック問題が気になるという意見があった。方向性を誤らないよう、産官学が一体となって解決策を見出していくことが肝要になる。

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