スパイアクション映画のようなスリリングな展開のストーリーを味わいたい。そう思ったら、化学企業の歴史を綴った書物(年史)を読めば良い。戦争、事故、不況、オイルショック、円高、環境問題…どの企業の年史を見ても、お約束のように幾多の困難が次々と襲ってくる。とくに時代の大きな変化やうねりを前にしたとき、企業は嵐の中を彷徨う小舟のようだ▼驚かされるのは、そうした会社存亡の危機ともいえる困難に遭遇したときの先人達の対応力だ。危機をバネに、驚くべき粘りと反発力を発揮する。攻めか守りかで社内はいっとき揺れるが、最後は攻守とも予想を遙かに超える力を発揮して乗り越えていく▼ここ数年、視界良好で業績好調の化学企業。かつての小舟はいま、凪の海を巡航する堅牢な戦艦のようだ。この瞬間は、潮風に吹かれながらつかの間の幸せを噛みしめることが許された、天与の機会のようにも感じられる。しかし、明日の好天が約束されているわけではない。新たな時代のうねりはもう始まっている▼将来刊行される各社の年史の続編には、いったいどのような困難が書き加えられるのだろうか。きっとこれまで経験したこともない新たな危機もあるはずだ。そして、困難を乗り越えるのに必要なのはやはり、人々の強靱な意志の力なのだろう。(18・4・17)

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