塩野義製薬の手代木功社長は、1日の決算説明会で開発中の新型コロナウイルス感染症経口薬「S-217622」の第2/3相臨床試験(P2/3)を韓国やシンガポール、ベトナム、英国などで行う計画を明らかにした。韓国、シンガポールでは今月中旬にも組み入れを始め、残り2カ国でも12月中旬までに着手する。患者数の多い国・地域でも治験を実施することで、早期実用化につなげる。

 「1000~2000例の症例を集める」(手代木社長)予定で、まず300例程度で中間解析し、結果に応じ、年内の承認申請を目指す。日本政府の間では供給に関して「話し合っている」(同)。来年4月以降、月50万~60万人分の国内生産体制も整える。

 海外生産・供給体制の確立に向け、複数企業と交渉していることも公表した。「どんなに遅くとも年内にはパートナーを決めたい」(同)としており、グローバルで相乗効果を発揮できる企業を優先していく。

 遺伝子組み換えたんぱくワクチン「S-268019」については、月内に最終段階の治験を開始する。年度内の実用化が目標。治験参加者の登録も順調に推移し、今月上旬には「登録が完了する」(同)。今後の検討課題としては、日本人での安全性評価を示した。

 一方、昨年6月に日本大学などとライセンス契約を結び、製品化に取り組んでいた革新的核酸増幅法(SATIC法)による新型コロナウイルス検査法実用化は断念する。PCR検査や抗原検査の普及・高度化が進むなか、競争力が発揮できないと判断したためだ。ただ、「技術的には面白い」(同)こともあり、SATIC法に関する実施許諾権は継続して塩野義が保有する。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

HP独自・先行の最新記事もっと見る