化学企業を取り巻く事業環境に不透明感が漂っている。3月期決算企業の前期業績は大手を中心に引き続き高収益を生み出したが、企業によっては原燃料高や円高が大きく影響した。今期は、さらに各社の収益圧迫要因となる。ただ高成長が続く半導体分野を中心に設備投資意欲は衰えをみせず、一歩先をにらんだ戦略が問われている。
 内閣府が発表した1~3月の機械受注統計によると「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整ずみ)は2兆6198億円で前期比3・3%増と6四半期ぶりの高い伸びだった。半導体製造装置やIT関連機器の需要が旺盛だった。民間設備投資の先行指標となるだけに、想定を上回った数字に期待は膨らむ。さらに4~6月期の受注見通しは前期比7・1%増としており、先行きに対する各社の意欲がみてとれる。
 「余裕を持たせた生産能力増強を行ったが、すでに予定は埋まっている」と設備投資を行った半導体材料メーカーのトップは語る。半導体材料は、IoT(モノのインターネット)の普及にともなう電子デバイス使用量の増加により旧世代向けの需要が増加。DRAMおよびフラッシュメモリーの3次元化などで先端半導体向けも、旺盛な需要が続く。
 ここにきてスマートフォンの需要が踊り場を迎え、有機EL関連も落ち込みがみられるというが、供給先により明暗が分かれているようだ。ただ中期的に確実な伸びが見込まれる有機ELに対しては、材料メーカーは強気の戦略を立てる。
 設備投資の目的は、これだけではない。帝国データバンクによる2018年度の設備投資に関する意識調査では、人手不足に対する投資が上位を占めた。全体の62・4%が設備投資を計画するなか、その内容は「設備の代替」と「既存設備の維持・補修」に続いて「省力化・合理化」が3割弱を占めた。増産・販売力の強化より上位ランクとなった。「情報化(IT化)関連」も23・8%を占めており、人材不足に対する効率化投資の必要性もうかがえる。
 18年度の設備投資は大企業が中心になると見込まれ、中小企業については、先行きの不透明感払拭など経営環境の改善が投資拡大に向けたカギになるとも指摘している。
 原燃料価格や為替の動向に加えて、米中貿易摩擦など注視すべき外部要因は、ますます増えている。こうしたなかでも、ビジネスチャンスにつながる設備投資のタイミングをしっかりと見極めて、成長市場を取り込むための投資判断が一層重要になってくる。

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