大企業がスタートアップやベンチャー企業と協業する動きが定着しつつある。産業界を巡る環境が大きく変化するなか、外部との連携がますます重要視されている。大企業にとっては、新しい技術やアイデアを有するスタートアップ、ベンチャー企業などと組めば、革新的な技術の開発や事業化のスピードアップ、企業文化の活性化につながる可能性がある。
 バイエル薬品は神戸市および神戸医療産業都市推進機構と、神戸医療産業都市におけるベンチャー企業の育成・支援などに関する連携協定を締結した。3者が相互に連携を図り、ライフサイエンス分野を対象としたベンチャー企業の育成・支援とともに、ベンチャーエコシステムの構築に向けた協力体制を整えることを目的としている。
 バイエル薬品では昨年、神戸ポートアイランド(神戸市中央区)の神戸医療産業都市に、スタートアップのインキュベーションラボ「CoLaborator Kobe」(コラボレーター神戸)を立ち上げた。また神戸市は、1998年から「神戸医療産業都市」プロジェクトを掲げて350を超える企業・団体・研究機関の集積、高度専門病院群の整備などを進め、日本を代表するバイオ・メディカルクラスターとして発展を遂げている。
 今回の連携協定を機に、バイエルグループが持つグローバルなネットワークを活用し、神戸医療産業都市への進出に相応しいベンチャー企業・起業家の発掘につなげる。同時に、神戸市および神戸医療産業都市推進機構が行うライフサイエンス関連企業の誘致活動において、CoLaborator Kobeの存在を積極的にアピールしていく。
 ベンチャー企業に対しては、バイエルグループが開発した創薬に関する人材育成プログラムを提供するほか、神戸医療産業都市推進機構が有する支援プログラムを活用し、研究開発シーズの事業化を促進する。またバイエルグループの海外拠点などを生かし、ベンチャー企業の海外展開をサポートする一方、ライフサイエンス分野における主要都市において、連携イベントの開催も予定している。
 幅広い業界においてオープンイノベーションが普及しつつあるなか、大企業がスタートアップ、ベンチャー企業を支援する動きは今後、ますます広がるだろう。しかし企業風土の違いなどから、協業が思ったように進まないケースも多いという。今回のバイエル薬品の取り組みは、企業と自治体、大企業とベンチャー企業の新たな連携の試金石となる。

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