欧州の化学企業の業績が引き続き好調だ。2018年1~6月期は多くの企業が増収益を記録した。為替がマイナス要因になったが、販売量と価格の伸びが好業績を支えた。通年でも良好な結果になると見通す企業が多い。ウレタン原料、エンジニアリングプラスチックといった事業領域の好調が目立った。コベストロ、DSM、エボニックインダストリーズ、ソルベイなどの企業の業績を見ると、その傾向が分かる。
 このうちコベストロはポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、塗料・接着剤・スペシャリティーズの3事業すべてで販売価格が上昇したのを背景に、売上高は前年同期比7・9%増の約76億ユーロに達した。EBITDA(金利・税・減価償却費計上前利益)は同20・9%増の約20億ユーロで、純利益は同31・4%増の約12億ユーロ。
 EBITDAの伸びはPCとPUの両事業の利益率の改善が支えた。PUでは、とくにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の収益性が高い水準になっている。1~6月の好業績を背景に、前年並みとしていた通年のEBITDAが前年水準を上回るとの見通しに変更している。
 成長を持続しようと積極的な設備投資に乗り出す。PCとPUの各事業の生産体制を強化するのが狙いだ。本紙と会見したトーマス・トゥプファー最高財務責任者(CFO)によれば、18年の設備投資は6億5000万~7億ユーロ(約844億~910億円)を見込むが「今後数年は最大で年12億ユーロ(約1560億円)にする」計画。6億5000万ユーロ規模の減価償却を大きく上回る設備投資に踏み切り、需要の伸びに対応した競争力に富む生産体制を作り上げる。
 現在進めている上海におけるPCや、独ブルンスビュッテルとスペイン・タラゴナにおけるMDIの増設計画などに加え、PCとPUの両事業で年産40万~50万トンを想定する「世界規模のプラントの新設」を検討している。PU事業ではMDIが有力な対象になっている。現有の生産拠点にいずれか一方の事業のプラントを新設するか、両方の事業で投資計画を進めるとしており、年内にも枠組みを決める。
 さらに塗料や接着剤、高性能フィルムの原料などを手掛ける塗料・接着剤・スペシャリティーズではM&A(合併・買収)の可能性を探り、事業の拡大を目指している。
 設備投資やM&Aに対する方針は、成長に向けた強い意志を示している。それを具現化した時に、どのような企業になっているのか成果を見届けたい。

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