太陽光発電の分野で「セカンダリー市場」と呼ばれる新たなビジネスが脚光を浴び始めている。すでに稼働している太陽光発電設備の売買を行う取り組みである。その取引規模は年々拡大をみせており、2020年度には16年度比4倍の市場になると予想されている。
 「希少!36円案件」「この夏、太陽光で手アツイ資金運用を」-等々。セカンダリー市場の仲介サービスを手がける企業の広告だ。高い利回りを謳い、購入を促す文言が並んでいる。例えば出力容量55~70キロワットの太陽光発電設備の場合、売却価格は2500万円前後。いずれも買い取り価格36円/キロワット時の案件で利回りは10%という。
 このセカンダリー市場は、いわば「中古不動産取引の太陽光発電版」だ。矢野経済研究所の調べによると、15年度の同市場の規模は150メガワットだったが、成長が続き17年度には2倍の300メガワットに達したという。今後は数十メガワットクラスの売買も進むと予想されることから、同社では19年度には650メガワット、20年度には800メガワットへ拡大すると予想している。
 セカンダリー市場の拡大と同時に、この取引を支援するようなサービスも誕生している。仲介業者はその一例だが、注目したいのが太陽光発電設備の技術的な評価や資産価値を算定するサービスだ。
 売り主は、当然のことながら所有する物件の高値売却を希望する。太陽光発電の場合、その基準は実発電量となる。太陽電池パネルの汚れや故障を放置しているようでは、最大限の発電量を望むことができない。発電パフォーマンスに直結するトラブルは取引にあたってマイナス評価の要因となるため、評価・メンテナンスサービスはセカンダリー市場でも重要度が増しているという。
 通常のメガソーラー運営はもちろんのこと、売却を目的としたメガソーラーでもメンテナンス需要が増すのは、望ましい状況といえるだろう。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の期間が終了した後でも発電が続けられる設備であれば、地域団体などに払い下げることで、将来的に、その地域の独立電源になる可能性を秘めているからだ。
 このほど北海道で発生した大地震後の停電は、集中型エネルギーシステムの脆弱性を改めて浮き彫りにした。FITの施行以降、時に“乱立”と揶揄される太陽光発電設備だが、その一つひとつが分散型エネルギー社会実現のための重要な電源となる。太陽光発電の事業者には、売電の先を見据えた運営が求められている。

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