再生可能エネルギーが、ものづくりでも活用され始めた。その代表的事例が米アップル。製造パートナー23社がアップル向けの生産で100%クリーンエネルギーを使用すると確約するなど、環境に配慮した生産体制を強化中だ。このサプライヤーのうち、ソルベイはこのほど、米国に大規模な太陽光発電設備を開設した。再エネによるエネルギー供給源の拡大によって、メーカーの新たなものづくりを支援しようとしている。
 メーカーが再エネを活用して製品を製造しようとする背景には、国連気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21)で成立した「パリ協定」がある。今世紀末までに温室効果ガスの排出ゼロにし、人間活動による温度上昇を2度C未満に抑える取り組みは、これからの社会のあり方を定めた指標といえる。その対策が大企業を中心に進むなか、太陽電池(PV)国内最大手である京セラの谷村秀夫社長は「COP21への対応として産業用でPV導入の機運が高まっている」と指摘する。製造のみならず、オフィスや工場の電力使用量を大幅に削減可能なソリューションとしてPV各社は企業向けの提案を強化中だ。
 ただ太陽光発電システムのさらなる普及には克服すべき課題がある。最大の問題はコスト競争力だ。太陽光発電協会(JPEA)のまとめによると、初期費用は全体でドイツの約1・9倍になるという。このうち土木や電気などの工事費は同じく約3・7倍と割高感が強い。非住宅用は業務用電力料金に近づきつつあることから、コスト低減を促すために出力2メガワット以上のメガソーラーは入札制度に移行してはいる。しかしシステム全体でコストを見直していかないことには、さらなる導入拡大には至らないであろう。
 この総コストの低減に加え、JPEAでは「長期安定稼働による発電量の最大化」を改善点に掲げる。遠隔監視や適切な維持管理によってPVの不具合を防ぎながら、稼働年数を可能な限り引き伸ばすというものだ。「燃料費がゼロの太陽光発電にとって年数最大化の効果は、とくに大きい」(JPEA)。このため発電設備に止まらず、土木・構造設計までを含めてリスクを洗い出し、発電事業全体の健全化へとつなげる「評価ガイド」の必要性を強調する。
 国産エネルギー源のなかで賦存量が最も多い太陽光を活用しない手はない。パリ協定移行の世の中の流れを考えれば、コストダウンが太陽光発電の普及拡大を後押しするのは確実と言える。持続可能な社会の実現のためにも、業界全体の自助努力を期待したい。

PDF版のご案内

新聞購読のご案内

社説の最新記事もっと見る