新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が内閣府や経済産業省と創設した「宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム」(S―Matching)が、いよいよ本格的に稼働を開始する。「シード段階」「アーリー段階」のベンチャー企業が資金調達に苦労している一方、案件についての情報が宇宙ビジネスに参画意欲のある企業、金融機関に届いていない―という声が上がっていることに対応し、ウェブ上で新たなビジネスアイデアと投資家・事業化とのマッチング機会を提供する。先月末に専用サイトを立ち上げ、入会申請の受け付けを開始、マッチング機能を搭載して今月半ばに運用を始める。
 日本の宇宙機器産業の規模は内閣府の試算によると約3500億円。ここに通信・放送やリモートセンシング、測位関連などの宇宙利用産業を含めると1兆2000億円規模に達するという。昨年、内閣府が発表した「宇宙産業ビジョン」では、宇宙産業を第4次産業革命の駆動力であり、成長産業を創出するフロンティアと位置付け、市場規模を2030年代早期に倍増する目標を掲げている。
 実現には既存の宇宙産業の担い手のみならず宇宙ベンチャーの創出・育成によってイノベーションを生み出していくことも欠かせない。現時点でも小型衛星開発や画像販売、小型衛星用ロケットの打ち上げ、月の資源開発、宇宙デブリ除去、人工的に流れ星を発生させるサービスなど多様なベンチャーが事業化に挑戦中だ。今年3月には安倍首相が今後5年間で官民合わせ約1000億円のリスクマネーを供給するなどの支援パッケージを発表した。
 しかし、すでに資金調達に成功している企業に続く、新たな宇宙ベンチャーが勃興しているかと言えば否だ。その要因の一つに挙げられるのが、やはり資金調達の難しさ。ITなどの、すでに確立した分野に比べ、事業化の早期段階で資金調達に苦慮することが多く、7~8年かかるケースもある。
 ロケットの小型化進展などで実質上の距離が縮まった宇宙産業。その可能性は近年、急速に広がっている。アイデアと資金を結び付けることで生み出される新規テーマは多いはず。S―Matchingは、その手段の一つとなる。ベンチャー企業だけでなく、個人、チームも対象にするなど極力間口を広げているのも特徴だ。この枠組みを生かすには多数の参加と、柔軟なシステムへの改良が必須となる。利用者のニーズを拾いながら、より使いやすいシステムへ発展させ、日本の宇宙産業の成長につなげてほしい。

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