専門商社がAI(人工知能)に関心を寄せている。現在、各社ではメーカーの汎用製品を販売して手数料を得る従来の「口銭ビジネス」からの転換が重要課題となっている。そのため新規分野開拓や製造機能の強化、海外市場の開拓、ソリューションビジネスへの展開などに力を入れているが、なかでも時代の最先端を行くAIの活用に向けた取り組みが本格化しているもの。最近では国内外のAI関連大手やベンチャーと連携強化を進める企業も多い。
 富士キメラ総研の調査によると、国内のAIビジネス市場は2030年度には2兆250億円に到達。業種別ではトップの金融業5860億円以下、組み立て製造業2240億円、プロセス製造業1540億円、公共/教育業1920億円と予測されている。
 AIに関わる専門商社の動きを追ってみると、やはりエレクトロニクス系商社の動きが目立つ。例えば日商エレクトロニクスはこのほど、米ベクトラネットワークスに出資した。同社との関係強化を足掛かりに、AIサーバーセキュリティ事業の取り組みを強化する方針だ。
 また伊藤忠テクノソリューションズでは、アイ・グリッド・ソリューションズ(東京都千代田区)と店舗や事業所での使用電力量の予測を行うAIを共同で開発。これを使用して省エネアクションの提案まで行う次世代エネルギーマネジメント支援サービスを今月開始する。スーパーマーケットなどの流通・小売業やアミューズメント業を手始めに展開する。
 AIに関心を寄せる商社はエレクトロニクス系だけにとどまらない。化学系では長瀬産業が17年、IBMが設立したオープンリサーチコンソーシアムに参画。IBMのコグニティブシステム「ワトソン」と、高度データアナリティクスを活用したケミカル素材の開発プロジェクトを立ち上げ、化学品メーカーやグループ会社とともに材料開発や用途発掘を行っていく。
 また三谷産業は先月、清水建設と共同でサーバー質の温度管理をクラウド上のAIでリアルタイムに省エネ制御を行うサービスを提供することを明らかにした。クラウドを通じサーバー室の空調を評価して省エネを図るベストチューニングや、クラウド導入のための機器更新を提案するコミッショニングサービスも開始するという。
 AIは近年、産業、民生問わず活用が広がっており、われわれの生活レベル向上に貢献する技術であることは間違いない。各専門商社も、これをビジネスチャンスと捉え、その普及に貢献することを望みたい。

PDF版のご案内

新聞購読のご案内

社説の最新記事もっと見る