国内でもモデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの接種が進むなか、副反応に関する調査報告がまとまってきた。岡山大学は約3800人を調査し、9割超で痛みを感じるとともに23%で発熱症状が出たとした。長崎国際大学は約1900人のデータを解析し、副反応が生じやすい因子を明らかにした。副反応に関する一定規模の疫学調査は国内では乏しいため、実態把握に役立ちそうだ。

 大学拠点接種や職域接種で集めたデータに基づき、分析した。いずれもプレプリントサーバーなど査読を経ていないかたちでの発表。これまでもモデルナ製ワクチンの副反応についての調査はあるが、男性の多い自衛隊、あるいは少人数グループを対象としたものしかなく、ある程度の人数に関するものはなかった。

 岡山大の研究グループは、大学拠点接種を受けた3794人に対して1回目接種後の副反応に関して調査を行った。局所反応としては、接種部での痛みが91・5%、腫れが39・6%で生じていた。腕が赤く腫れ上がってしまう、いわゆる「モデルナアーム」については2~3%前後で出現した。

 全身反応についてみると、最も多かったのが筋肉痛で59・4%。倦怠感の48・5%、頭痛の29・7%が続く。発熱は23%で、年齢が若いほど出現頻度が高い傾向を示した。基礎疾患やアレルギー歴の有無との関連性は乏しいともした。

 ファイザー製ワクチンと比べると、全体的に副反応出現率は高い。ただ、「大体の症状は接種翌日、翌々日には落ち着いている」(同大)としている。今後、2回目接種終了後に再解析を実施し、最終報告としてまとめる。

 長崎国際大の研究グループの場合、職域接種を受けた3998人のうち、アンケートに同意した1877人のデータを分析した。副反応で最も多かったのが注射部位の痛みで71%。全身では筋肉痛が最多で34%となった。

 アナフィラキシーに関しては3998人中、女性1人で発生した。また、多くの症状が接種当日から翌日に生じ、2~3日間、持続したとしている。

 一方、収集したデータについて回帰分析を実施した結果、「女性」「未成年」「アレルギー歴」「副作用歴」の4つがリスク要因だと指摘した。とくに未成年について明らかにしたのは今回が初だといい、接種可能年齢の12歳への引き下げを決めるなかで有益な情報になるとしている。

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