肥料原料として、また次世代エネルギーである水素のキャリアとして、サスティナブル社会においてアンモニアの重要性が高まると目されている。世界需要は年間1・7億トン程度。現在の製法は100年以上もの歴史を持つ「ハーバー・ボッシュ法」である▼100年以上も同じ製法が主流として続いていることに驚く。このプロセスが時代を1世紀以上先取りする革新的な技術であったこと、化学的に非常に安定な窒素を反応させることの難しさを物語る▼世界中の化学者が、高温・高圧の過酷な反応条件によらないエネルギー消費の少ないプロセスの研究に取り組んでいる。「アンモニア合成」と検索してみれば、先月の東大の発表など内外の数々の成果がヒットする▼西林仁昭教授ら東大研究グループは、常温・常圧の温和な反応条件下で窒素ガスと水からアンモニアを合成する反応を開発した。モリブデン触媒を用い、窒素ガスおよびプロトン源として水、還元剤としてヨウ化サマリウムを用いる。「常温・常圧」「水素源は水」で「世界最高の触媒活性」を達成した▼アンモニア合成触媒では、IGZO半導体開発でも著名な細野秀雄東工大教授の「C12A7エレクトライド触媒」も注目を集めている。100年後、日本発のアンモニア合成プロセスが世界中で活躍しているかも知れない。(19・5・8)

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