中国のSNS(ソーシャルネットワークサービス)を代表する存在となった微信(ウイチャット)。現在、中国内で10億人近いアクティブユーザーがいると言われ、同一国における利用者数は、14億人という総人口もあってラインやツイッターを大きく引き離し、世界一の規模を誇る。微信を開発した中国のテンセントは微信内の各種サービスの充実などで毎年、業績を伸ばしている。同社の2017年業績は総売り上げが前期比56%増の約2378億元、純利益が同75%増の約725億元と驚異的な成長を示した。
 微信は当初、個人利用を土台にしてきたが、ここにきて改めて企業が利用する企業公式アカウントが急拡大している。自社製品の事業紹介や製品PR、さらに中国市場に対する消費者層の興味や流行を図る重要なマーケティングツールになり始めている。微信のページをフォローすれば、企業側にとって新製品や各種情報などのプッシュ配信が行えるほか、日用品や生活用品など微信内のユーザー同士で品物の売買が行え、ウイチャットペイでサービス内における決済も完結する。
 中国内でライバル企業となるアリババグループもコンシューマー向けの「天猫」に加え、BtoBサイト「1688.com」を持つ。クラリアントがネットショップの基幹店を立ち上げるなど、欧米化学企業が早くも取り込みに動いている。
 中国当地でも、日系化学や関連企業が、微信をビジネスツールに活用しようとする動きが活発化している。製品販売や企業ブランド浸透に向けたツールとして微信の企業公式アカウントを開設する日系化学大手・中堅が増加しており、恐縮だが化学工業日報社も公式アカウントを開設した。
 日系化学大手の中国総代表は「日本では微信の凄さは実感として理解されていない。中国人の毎日の重要な情報収集、発信ツールとして影響力は極めて強大」と話す。別企業の中国総経理も「微信登録フォロー数の大小が企業人気のバロメーター。中国市場に対しての企業ブランド浸透ツールとして使わない手はない」と言い切る。
 とくに特定グループのみに情報を配信し、そのグループ内でさまざまな情報交換が行える機能は、ライバルの微博(ウエイボー)よりも使い勝手に優れているという。営業や新製品マーケティングに使う日系化学企業が増加しているのも当然か。ビジネスの基本はアポ・訪問・面談だが、きっかけ作りに微信は強力なツール。日系化学企業のアカウントの開設は、さらに増えていきそうだ。

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