バイオベンチャーのちとせ研究所は、ハード面からバイオによるモノづくりを牽引していく。9月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した2019~21年度までの助成事業に同社の提案した研究テーマが採択され、三井化学、カネカのほか味の素と協和発酵バイオなど競合同士も含む計8社が参画。業界で用いられてこなかったAI(人工知能)による微生物培養手法を確立させ、日本のお家芸と呼ばれた発酵技術を取り戻す考えだ。藤田朋宏CEOにプロジェクトの特徴や狙いなどを聞いた。

 - プロジェクトに参画した動機は。

 「バイオ生産を効率的に行うための培養(ハード)技術を進化させ、日本に再びバイオ生産を取り戻せればという思いがある。生物によるモノづくりは、微生物を遺伝子操作や遺伝子編集するソフトと生物を安定した環境で生産するハードで成り立つものの、前者が大型投資を受けるなど注目されている。一方で生産に目を向けている事例はこれまでなかったと認識する。アカデミアを含め日本が発酵産業をリードしていたのは1990年代くらいまで。以降、生産はコストの安い中国やタイに移り、それにともない技術も大きな進展はなかった」
 「近年、バイオエコノミーという概念が国際的な動きとなりOECD(経済協力開発機構)は、2030年のバイオ市場は約200兆円になると試算している。産業として発展するにはハード面の進化も不可欠だが、ソフト開発に比べると遅れを取っているように感じる。生物を大量培養する装置バイオリアクターの原型は1915年ごろに開発されたが、70年以降はあまり変化しておらず頭打ちの状態だ。人間の経験や勘など“職人技”に頼っている培養技術をAIでデジタル化させれば、大きなビジネスチャンスとなる可能性がある」

 - プロジェクトの概要について。続きは本紙で

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