石油元売り各社の団体である石油連盟が都道府県と進めていた各地の重要施設に関する情報共有の取り組みが、このほど全都道府県と協定のための覚書を締結する段階にいたった。これにより災害発生時に円滑な燃料供給を行える枠組みが一段と整備されたことになる。
 東日本大震災を教訓に、災害時の石油供給を確保するための体制の迅速な構築を目的として石油精製事業者などに「災害時石油供給連携計画」を事前に作成し、届け出ることが義務づけられた。石油備蓄法を改正したもので、大規模災害時に限って独占禁止法の枠組みを越えて活動できるよう法的な裏付けができた。経済産業大臣の勧告で計画実行が発令される。共同でオペレーションルームを開設して情報収集を進めたり、基地の共同利用を図るほか、特定地域で石油の供給が不足した場合、緊急要請に基づき官民協力の下で元売りが迅速に供給を行う。
 この「連携計画」では、都道府県等と重要施設に係わる情報共有のための覚書を交わすことが規定されている。災害拠点病院、警察、消防署などの重要性の高い公共施設を県が選定し、この情報を石連に事前に提供。石連は会員各社でこの情報を共有し、重要施設に直接燃料油を供給できるように役立てる。都道府県との情報共有は、連携計画実行に当たって最重要の事前準備といえる。
 東日本大震災以前に協定していた東京都を含め段階的に覚書締結を進め、最後まで残っていた沖縄県と今年2月に、長崎県とも翌月に提携した。これで全都道府県の重要施設に関し、燃料供給に必要な情報を共有できた。都道府県以外でも、内閣府を窓口とした全ての中央省庁、各地の地方整備局、海上保安部などの政府機関、通信会社などの7つの公共機関とも覚書を締結済み。今後も定期的に情報のアップデートを進めていく予定だ。
 石油製品は電気や都市ガスが停止した際、分散型・自立型エネルギーとしてエネルギー供給の最後の砦となる。エネルギーの安定供給策は、災害など緊急時も折り込んで策定、実行されることが重要である。
 「連携計画」は一昨年の熊本地震の際に初めて発動され、緊急要請に応じて円滑に燃料油を供給するなど、総じて有効性が実証された。また石連や各元売り企業では、各種の訓練や設備投資など災害時対応を積極化している。
 加えて今回の全都道府県との情報共有の実現を機に、これまでにも増して緊急時の安定的な供給を可能とする体制の強化に努めていくよう求めたい。

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