フィアット・クライスラー・オートモービル(FCA)傘下の自動車部品メーカーであるマニエッティ・マレリとカルソニックカンセイの事業統合が発表された。カルソニックカンセイの親会社であるCKホールディングスが8060億円で買収することで合意した。実現すれば総売上高1兆9750億円と、独立系で世界第7位の巨大サプライヤーが誕生する。
 カルソニックカンセイはサーマル製品、排気システム、内装や電子製品を生産。マニエッティ・マレリは照明、パワートレイン、電子製品、排気、サスペンション、ショックアブソーバーなどを展開する。これら技術・製品群とともに、統合によって200カ所以上の工場や研究開発センターを欧州、日本、米州、アジア太平洋地域に有することになる。その事業規模とグローバルネットワークをベースに、自動車市場におけるプレゼンス向上を狙う。
 新会社では、規模および強固な財務基盤と製品ラインや事業エリアの相互補完により、グローバルなサービス提供体制を確立する計画。またFCAと複数年の部品供給契約を締結することで合意した。統合する両社では、グローバルネットワークを有する独立したティア1サプライヤーという戦略目標に向けた大きな一歩と位置付ける。
 ここまで大規模なM&A(合併・買収)は、そうあるものではない。ただ100年に1度ともいわれる大きな変化の波が自動車産業に到来するなか、覇権を狙って中国などの新興メーカーを含め業界再編が活発化しているのも事実。拡大する世界需要を背景に、市場シェアや拠点展開、新規顧客獲得といった事業スケールの追求をはじめEV化の進展や自動運転、コネクテッドといった技術革新への対応を目的とした保有技術・製品の付加価値向上、さらにシェアリングエコノミーに代表される新たなビジネスモデル創出への取り組みなどが国内外問わず進んでいる。自動車メーカーを頂点する従来の系列はもとより、今後は産業の枠をも越えた合従連衡の加速が予想される。
 こうした変化は、その規模によっては業界地図を一夜で塗り替えるインパクトを持つ。欧米系サプライヤーが先行する格好で始まった構造改革の動きは、すでにグローバル規模なものとなっており、国内でも事業提携やM&Aなどの動きは始まっている。成長する自動車市場で生き残るためには、既存事業のさらなる成長に取り組みつつも、事業規模の大小に関わらず、業界の構造変化を成長機会として取り込むための戦略的思考が求められる。

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