高付加価値品を手がけるファイン・スペシャリティ系の化学企業が、成長領域でのさらなる基盤強化を目指して積極策を打っている。各社が中期経営計画で定めた重点分野であり、描いたシナリオに沿って取り組みを加速している。
 ライフサイエンス分野の拡大を目指すADEKAが打った一手が、持分法適用会社だった日本農薬の連結子会社化。株式公開買い付け(TOB)と第三者割当増資を経て、先月28日付で日本農薬の持ち株比率を51%に引き上げた。これによりライフサイエンスを樹脂添加剤、化学品、食品に続く第4の柱に育成していく考え。
 ダイセルは8月、ドイツの医薬品開発製造受託企業(CDMO)であるロマファームを買収し、中期経営計画における5つの新規事業ユニット候補の一つであるメディカル関連の成長を加速する。この分野ではこれまで、必要な錠剤機能をあらかじめ設計したプレミックス型添加剤を中心に事業展開しており、今回の買収で医薬品製剤事業に参入することになる。
 また台湾に自社開発ウエハーレベルレンズを活用した光学製品の設計開発・販売会社を設立し、今月から本格活動を開始。各種センシングデバイスやシステム開発関連メーカーが集中する台湾に開発・販売拠点を設けることで、先端ニーズの獲得や顧客密着型の開発を行い光学製品事業の拡大を加速する。同レンズ関連の光学部材も新規事業ユニット候補の一つだ。
 フォトレジスト向け感光性材料で高いシェアを持つ東洋合成工業は、需要増に応えて同材料を相次ぎ増強する。生産拠点の千葉工場(千葉県東庄町)で、来春までの完成をめどに先端向け感光性材料を増設、2020年夏完成をめどに同工場内に新工場も建設する。同工場では今春に感光材の増強設備が完成、現在は認定作業中で、下期から稼働を始める。矢継ぎ早な増強により、拡大する需要に対応できる体制を整える。同社の全売上高に占める電子材料関連の比率は約7割を占める。今年度からの5カ年中計では電材関連を中心に積極投資する方針を掲げており、中計スタートから早々に具体策を打ち出した。
 ファイン・スペシャリティ系をはじめとした化学企業にとって、成長を続ける市場、成長が見込める新市場を狙うことは持続成長のためにも欠かせない。各社は計画で定めた施策を確実に実行していくことで新たな収益源を構築する。日本の化学企業が世界で存在感を示し続けていくためにも、描いた確かなビジョンに沿って積極果敢に戦略を実行してもらいたい。

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