お茶所である静岡や京都などでは新茶の出荷が本格化している。「茶摘み」の歌にある「夏も近づく八十八夜」は立春から数えて八十八日目のことを指す。今年は春先に天候不順があったが、これまで培った技術力で例年通りの品質を確保できたという▼農林水産省によると、2018年の荒茶(加工処理したもの)生産量は前年比6%増の8万1500トン。生産量が一番多いのはもちろん静岡で約4割を占める。以下、鹿児島(34%)、三重(8%)、宮崎(5%)と続く▼世界的な健康志向の高まりもあって輸出は拡大傾向にある。18年の実績は5102トンと前年比10%増。金額面でも同7%増の153億円となった。農水省が掲げた20年目標の150億円を前倒しで達成した。最大の仕向け先は米国だが、同市場で幅をきかせているのは中国産だ▼日本茶輸出促進協議会の担当者に話を聞くと、世界的に紅茶よりも日本茶に関心が集まり、とくに抹茶の需要が好調。インド、ケニアといった紅茶の生産国も日本茶の生産に力を入れ始めている▼一方、国内の伸び悩みが心配事だという。手軽に飲めるPETボトルのお茶が普及した結果、価格が高めのお茶が売れなくなっている。お茶の世界もデフレということか。久しぶりに新茶を買って、日本茶の良さを再確認するのも悪くはない。(19・5・17)

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