総合化学企業、ファインケミカル企業などの製造プロセス機器である撹拌機の技術開発が熱を帯びている。装置メーカーでは、顧客ニーズの高度化・多機能化を背景に新しい技術革新を実施し、差別化戦略を加速する戦略だ。化学品の開発と装置開発は、いわば車の両輪。最終製品の競争力を左右するだけに各社の取り組みに注目したい。
 撹拌機の対象となる物質の状態は液体と液体、固体と液体、液体と気体など多様だが、低コスト、省エネ、省スペースで、より品質の安定した均一な化学品を得ることが何より大切。
 例えば高粘度液の均一混合。化粧品、トイレタリー、接着剤など高粘度液の均一分散は一般に難しく、開発自体を断念するケースが多い。これに対し住友重機械プロセス機器は、高粘度液の微細化・均一分散ができる複合撹拌装置「ナノビスク」を2年前に開発した。技術サービスを充実させるため、本社実験棟(愛媛県西条市)に加え、兵庫県尼崎市に先ごろ新しい実験設備を確保している。
 日本アイリッヒは、混合・造粒・混練・スラリー化を1台で行える高機能材料向け高速撹拌混合機の新機種「クリーンラインC5」を開発、販売する。反応タンクと内部インペラであるローターが同時に逆回転し、強力なせん断力を発揮することが特徴。ワンポットプロセスミキサーとして医薬品、化学品、食品などの用途を開拓する。
 エカートは、精密化学品向け省エネ型の竪型乾燥機「ソリッドミックスVPT」で攻勢をかける。通常、精密化学品の原料を均一混合し乾燥する際、オーブンで加熱するが、多大なエネルギーを消耗する。同機は独自インペラと真空プロセスで、大幅な省エネを実現した。
 佐竹化学機械工業は、医薬業界向け動物細胞培養や、再生医療用のiPS(人工多能性幹細胞)向け撹拌システムを開発、実績を重ねている。国産装置の強みを生かし、海外勢が強いバイオ医薬品装置市場でプレゼンスを高める。
 分析機器メーカーのマウンテックは、シーリング材や導電性ペーストなど高粘度ペーストの湿式粉砕機「コロイドミル」を展開している。化学工場で一般的な3本ロールミルの代替を狙う。3本ロールは高所作業のため、作業安全性が課題。無人運転できる特徴を訴求する。
 ファイン企業は、常に最先端材料の開発に取り組み、製品の付加価値を高めることが至上命題。その際、均一な混合・反応工程の実現がカギを握る。ファイン企業と装置メーカーは緊密な連携を図り、革新的な材料開発につなげてほしい。

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