「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」(洋上新法)が11月30日に参議院本会議で承認され成立した。2030年の電源構成として再生可能エネルギーは22~24%とする目標が設定されている。固定価格買取制度(FIT)導入後は太陽光発電が普及し、バイオマス発電も今後数年は事業化が進む見通しだ。しかし太陽光発電は用地確保、バイオマス発電は燃料確保の課題があり、いずれ伸びは鈍化する。陸上風力発電も用地、工事の難しさがあり、大規模化が容易でコストダウンも見込める洋上風力発電のポテンシャルが大きいと評価されている。従来は海域の設定など事業化に向けたルールが不透明で占有期間も短かったが、洋上新法の施行により開発が促進されると期待したい。
 洋上新法では、国が洋上風力発電事業を実施可能な促進地域を指定し、公募により事業者を選定するとされている。それまで3~5年だった占有期間は、FIT期間含め30年の占有を認め、事業の安定性を確保した。また海運や漁業などの先行利用者との調整ルールも定められ、関係者の協議会が設置されることになった。
 洋上風力のFIT価格は1キロワット時当たり36円と設定されているが、新法の適用を受けるプロジェクトは入札制が採用され、競争により発電コストの低減が期待できる。さらに「日本版コネクト&マネージ」による系統接続の確保が進むほか、環境アセスメント手続きの迅速化が図られることになっている。
 現在、東北、北九州を中心に洋上風力発電の環境アセスメント手続きが進められており、その出力は港湾地域においては合計570メガワット、一般海域では同4820メガワットに上る。秋田県北部沖は455メガワット、秋田県由利本荘市沖は1ギガワットの巨大プロジェクトとなっている。
 参入を決定あるいは検討している企業は多く、発電事業者では再エネ発電事業者や商社のほか、東京電力が3~5ギガワット規模の開発を進める意向にあるなど電力大手も態度を明らかにしていくだろう。ベンダー、建設業者では風車、基礎構造物、電気設備などのメーカー、工事を担うゼネコン、マリコン(海洋土木)、海外大型プロジェクトで実績あるエンジニアリング企業が参入に意欲を示している。
 プロジェクトを円滑に進めるためには、実績豊富な欧州企業との連携が不可欠と見られる。洋上風力発電は、エネルギー政策だけでなく産業政策上も重要だ。欧州のノウハウをうまく取り入れて競争力ある産業に育つことを望みたい。

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