今夏は国内で多くの自然災害が発生した。とくに西日本を襲った豪雨・台風による被害はまだ記憶に新しい。東日本でもゲリラ豪雨が頻発したが、海外でも自然災害が猛威を振るっている。世界的には全被災者数の95%が水関連の災害で、とくに水インフラ整備が十分ではないアジア地域が85%を占めている。気候変動の影響もあり、大雨だけでなく渇水リスクも増加が予測されている。水の需要面からみれば、世界的な人口増加や経済発展、生活水準の向上を背景に、2030年には全世界で利用可能な水資源が40%不足するとの試算もあり、インフラ整備の重要性は増すばかりだ。
 日本は、水質の高さと無収水率(配水から料金を徴収できない割合)、漏水率の低さは世界トップレベルで、自治体や企業は優れた技術力とノウハウを持つ。とくに膜ろ過の部素材や環境対策、省エネ技術は日本企業の得意分野だ。商社も海外水インフラの運営に参画し、ノウハウを蓄積している。
 しかし水インフラは汎用品が多く使われ、施設建設も一般土木主体のため価格競争に陥りやすく、技術的に優れていても初期投資が高い日本の提案が評価されにくい。日本は政府主導で複数企業が連携し水インフラ輸出を推進しているが、あまり大きな成果が得られていないようだ。内閣官房によると67兆円に上る世界水インフラ(上下水、海水淡水化、産業用水など)市場での日本企業のシェアは0・4%にとどまるという。
 しかし今国会でインフラ輸出促進法が成立し、PFI(民間資金等活用事業)法が改正された。これにより海外インフラ輸出で、水資源機構や日本下水道事業団など独立行政法人の知見を活用したコンサルティング業務が解禁されるとともに、コンセッション(民間企業による公共施設運営)事業の支援が強化され、国内で蓄積した知見を海外に展開しやすくなる。
 世界には計画段階から設計・調達・建設(EPC)、運転・維持管理(O&M)、事業運営まで一気通貫で提供する仏ヴェオリアやスエズなど水メジャーが存在する。シンガポールのハイフラックスや韓国の斗山重工業など新興国企業も海外展開を強化しており、ローカル企業も台頭している。
 競争は厳しいが、今こそ日本が世界の水問題解決に貢献するチャンスだ。官公民がさらに連携を深め、計画段階から参画して各国の課題やニーズを踏まえた提案をする必要がある。また現地企業との協力やICT(情報通信技術)の活用で競争力を向上し、日本のプレゼンスがさらに高まることを期待したい。

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