日々進化を続けるリチウムイオン2次電池(LiB)。携帯電話やノートパソコンなどの民生用に続いて、最近は次世代自動車への搭載を目指す動きが活発化している。最近のLiBの動向や環境変化、今後の見通しについて、LiBの基本特許を開発した旭化成の吉野彰グループフェローに話を聞いた。
 - LiBを中心にエネルギーデバイスの開発が進んでいます。
 「これから1年ぐらいが潮の変わり目だろう。2次電池を中心にかなり拍車がかかっている。民生用の市場は順調に広がっているし、自動車や太陽光発電などへ採用する話が具体化しつつある。」
 - 自動車用LiBも量産化の話が相次いでいます。
 「当初はハイブリッド電気自動車(HEV)向けが注目されていた。しかし、B(バッテリー)EVといってもいいが、三菱自動車のiMiEVなどバッテリーのみで駆動する電気自動車(EV)の動きが前倒しで進んでおり、HEVの取り組みを追い抜きそうになっている。もちろん、これは電池の高容量化や原油価格の高騰がドライビングフォースとなっている」
 - EVは今後どのように普及しますか。
 「業務用なら10年で元が取れると考えれば採用されるだろう。環境問題に取り組んでいるというアピールになるし、管理された車であるということもポイント。これに対し、一般向けは難しい。初期導入コストが高いうえ、メンテナンスやインフラ整備の問題がある。ただし、日産・ルノーが参画しているベタープレイス社の取り組みのような壮大なフィールドテストで実証され、ビジネスとして成立するならば普及するだろう」
 - 電池材料メーカーの動きも活発です。
 「ここ数年の間に登場するBEVやHEVに搭載されるLiBは第1世代であり、これまでの実績が重視される。今後のBEVはより効率の良い電池が求められる。第2世代のLiBは電池の構造を合理化し出力も容量も向上する必要がある。BEV用LiBはソーラーハウス向けにも近い特性を持っている。自動車メーカーが電池メーカーになるように、太陽電池のメーカーも将来はLiBを手がけるようになるだろう。これまでの経験では、電池のコストが製品価格の10%まで下がると急速に需要が伸びていく傾向がある。自動車向けなどにも当てはまるだろう」
 - 電池業界で注目している点は。
 「これまでLiBは日本や韓国、中国が中心だったが、今後は米国のA123システムズやジョンソン・コントロールズ・サフト・アドバンスド・パワーソリューション(JCS、仏サフト、米ジョンソンコントロールズ合弁)など欧米の電池メーカーの動向に注意が必要だ」
 - 旭化成のセパレーターに続くエネルギーデバイス事業は。
 「セパレーター以外のLiBの部材や私の研究室で開発を進めているリチウムイオンキャパシター(LiC)で差別化できる技術や製品ができれば順次事業化していきたい」(山下裕之)

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