旭化成は2022年5月25日、創業100周年を迎える。肥料原料のアンモニアを祖業に、戦後は事業の多角化を加速。現在は素材関連の「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3領域経営を推進し、売上高2兆円企業へと成長した。世の中がカーボンニュートラルなどの大きな変化に向かうなかで、次の100年に向けてどのように成長の道筋をつけるか。小堀秀毅会長に聞く。

<常に持ち続けた「健全な危機感」>

□…旭化成は創業以来一度も営業赤字がありません。安定経営の秘訣はどこにあるのでしょうか。

 「会社は時代背景や経済環境、社会要請、自社の置かれた状況を常に意識して経営する必要がある。幸いにして過去一度も営業赤字がないのは『健全な危機感』を持ち続けたからにほかならない。その時々の経営陣が過去の成功体験やしがらみにとらわれず、世の中の変化や時代のニーズに柔軟に対応してきた。その積み重ねが100年の歴史といえる」

 「高度経済成長期に突き進んだ多角化路線から、バブル崩壊を機に選択と集中という『引き算』経営に舵を切った。アジア通貨危機などに見舞われた2000年前後には、食品や酒類事業を売却し、レーヨンやアクリル繊維などからも撤退した」

 「私が社長に就任した16年、旭化成は事業持ち株会社に移行した。03年に全事業を分社化して純粋持ち株会社となったが、その狙いである自主自立経営による基盤強化は成果を挙げた。一方で各事業会社が目先の利益を追うばかりグループ内に遠心力が強く働いていた。旭化成グループが10年先の目指す姿に向けて全体最適で経営資源を有効活用するには事業持ち株会社体制が望ましいと判断し、併せて事業領域も『マテリアル』『住宅』『ヘルスケア』の3つに絞り込んだ」

<方向性を示した基盤強化と改編>

□…6年間の社長在任中、どのような意識で経営にあたっていましたか。

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