昭和電工は22日、半導体材料事業に関するオンライン説明会を開催した。半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が茨城県つくば市で半導体後工程の研究開発拠点を開設したことについて、昭和電工マテリアルズの阿部秀則理事は「ビジネスの相手が近くに拠点を構えることで従来以上に会話が進み、材料、装置の開発の面でもプラスになる」と期待を寄せた。 

 昭和電工マテリアルズなど半導体材料・装置12社は2021年10月、半導体後工程の技術開発を行うコンソーシアム(企業連合)「JOINT(ジョイント)2」を立ち上げた。現在、人工知能(AI)やサーバーなどの用途で需要拡大が見込まれる「2・XD(次元)」「3D」実装といった最先端パッケージの評価プラットフォームの構築を進めている。 

 ジョイント2の舞台となるのは、昭和電工マテリアルズの半導体材料・プロセスのオープンイノベーションラボ「パッケージングソリューションセンタ(PSC)」(川崎市)。7月にクリーンルームの拡張が終わり、2023年3月までに試作・評価に使う装置類の導入が完了する予定だ。阿部氏は「ジョイント2の評価プラットフォームを使って装置、材料をブラッシュアップすることで、顧客へのより良い提案が可能になる」と強調した。 

 半導体の後工程材料はパッケージ基板のテストビークル(試作品)を実際に作製し、パッケージ全体で信頼性を評価することが重要という。半導体パッケージの構造が複雑化し、そこで使われる材料や装置も増える中、材料、装置メーカーが1社ですべての評価体制を整えるには投資負担が重くなる。阿部氏は「色々な企業が入るオープンイノベーションが不可欠で、これにより材料、装置の開発期間が短縮化できる」とした。 

 昭和電工と昭和電工マテリアルズでは、互いの持つ素材、アプリケーション技術のシナジー(相乗効果)発現に取り組んでいる。すでに昭和電工の設備を活用したCMPスラリー(研磨剤)の生産体制拡充、電子部品向け異方導電フィルムの機能向上など、半導体・電子材料周りでも成果があがっている。阿部氏は「半導体後工程の材料に対する要求が益々難しくなる中、両社の技術力を結集した新素材開発を加速し、より尖った材料を提供したい」と述べた。 

ジョイント2では最先端半導体パッケージの評価プラットフォームを構築する

ジョイント2では最先端半導体パッケージの評価プラットフォームを構築する

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