戦後間もなく設立された業界団体が今年、相次ぎ70周年を迎えた。時代の変遷とともに求められる姿も変わるが、これに見事に対応してきたのが化成品工業協会(化成協)だろう。他の団体が会員確保に頭を悩ませるなか、現在の会員数が過去最大であることがその証左だ。
 化成協は戦後の疲弊したわが国経済のなかで、化成品業界の新たな発展を願って1948年5月に設立された。その後、景気の波、貿易・資本の自由化、環境・安全問題、石油危機、円高不況など次々に大きな試練に直面し、協会としても抜本的な改革を実施。2004年までの10年間で会費や職員数を大幅削減するなど血のにじむ改革を実行し、協会の規模自体は3分の1程度に縮小した。
 化学業界団体の再編問題が浮上した際には機能・役割に関して他団体との重複を避け、化成協としての目指す事業分野をより明確化した。現在の所管製品は合成染料、有機顔料、有機ゴム薬品、医薬中間体、農薬中間体、有機写真薬品、その他の有機中間物、フェノール、無水フタル酸、無水マレイン酸、クロロベンゼン類、熱媒体などで、発足時から大きく変わらず多岐にわたる製品を対象とする。
 近年では、会員ニーズに応えるべく新たなプログラムを相次ぎ立ち上げている。「情報発信プログラム」では、会報に代わってメール情報サービスを充実させた。団塊世代の大量退職にともなう「2007年問題」が注目された際には、技術の伝承と向上を目的にした現在の「人材育成プログラム」をスタートした。さらに「保安力向上プログラム」に続いて14年に「事業支援プログラム」を始動。「環境・安全」や「保安」といった会員共通のテーマに加えて、会員の新たな市場創出に向けたイノベーションを支援する講演会やセミナーを開催している。
 12年11月、化学大手からなる会長会社「八社会」は「化成協は『中小企業の役に立つ協会』を目指す。そのためには8社は化成協を通じて中小会員を支援していく」ことで合意した。これが化成協の方向性を決定づけた。大手企業が中小を支援し、日本の化学業界の発展に寄与するという活動方針が明確になった。副会長は中小会員からも輪番で選出し、2名体制とすることも決まった。
 当初66社だった会員は現在、賛助会員を含め過去最高の129社を数える。明確な方向性の下で、中小のニーズに的確・迅速に対応してきたからこそである。その多様な取り組みには、日本の化学産業が健全で持続的な発展を遂げるため参考にすべき点も多いのではないか。

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