『枇杷と桃 葉ばかりながら 暑気払い』という江戸時代の川柳がある。ビワやモモの葉には体を冷やす作用があり、葉を煎じた枇杷葉の薬湯につかる風習があったという。『葉ばかり』と『憚りながら』をかけて、通常食す実ではなく葉っぱばかりで申し訳ないとの意味も込められた▼暑気払いは本来、冷たい食べ物や体を冷やす効果のある漢方などで体に溜まった熱気を取り除き、暑さを打ち払うという意味である。かつては冷たいものとは限らず、むしろ薬湯のようなものを飲んだり、行水や川遊びなども暑気払いとされてきた▼現代では、忘年会や新年会と同じく、宴会の代表格の一つとして暑気払いが位置づけられている。連日の暑さのなか、仕事帰りに一杯誘う口実にもなる。ストレスも同時に発散できれば願ってもないことだ▼冷たいお酒の代表といえばビール。原料の大麦には体を冷やす作用があるそうで、その点では夏の定番になっている麦茶も効果がある。小麦を使った冷や麦やそうめんも暑気払いの食べ物として知られている。この時期、自然とビールを欲するのには理由があったのだ▼暑気払いの期間は、明確には決まっていないという。だが、夏が訪れる夏至から、暑さが和らぐ処暑の頃までが理想といえる。シーズンは、まだ折り返し地点を過ぎたばかりである。(18・7・26)

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