「ダメなものはダメ」をスローガンに、1989年の参院選で当時の社会党を大勝に導いたのは土井たか子委員長だった。消費税廃止を公約に大勢の女性候補を当選させ、マドンナ旋風と呼ばれた。選挙公約は支持されたが、実現には至らなかった▼選挙の時はもちろん、その時々の政治課題を整理して国民に示すのは政府や政党に課せられた義務だ。ただし、大方の問題はシロかクロかの二元論では片付かない。複雑に絡み合う糸を解いて着地点を見出すのは容易ではなく、それを説明するのはさらに難しい▼たとえばエネルギー問題。国の基本スタンスは「3E+S」。安定供給、経済性、環境の3Eと安全性のSをバランスさせるエネルギーミックスの実現を目指す。全てを満たす電源があればいいが、一長一短があるから最適解は見出しにくい▼昨今、国際社会でダメ出しされているのが石炭火力だ。他の化石燃料と比べてCO2排出量が多いのがその理由。金融機関も新規投資への融資抑制を加速している▼とはいえ、石炭は安く調達もしやすい。経済成長に不可欠な電力を低コストで賄いたい途上国には捨て難い。当面は安価な石炭をつなぎとして活用しながら脱炭素化の途を探る―。そんな選択肢があってもいいだろう。「石炭はダメ」を出発点にしていては議論が硬直的になる。(19・6・24)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る