9月に米ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」で、日本政府は安倍晋三首相の演説を希望したが国連側から断られていた―。11月29日に共同通信が報じた。CO2排出量が多い石炭火力の推進方針が支障になったという▼菅義偉官房長官は同日午前の会見で「全くそういう事実はない」と否定。国連からは累次にわたって出席・発言要請があったが、日程の都合で出席が叶わなかったと説明した。この手の話は国連サイドから公表することはなく、実際のところは藪の中だ▼会議は深刻化する気候変動問題への対処の方向性を共有するという趣旨。グテレス国連事務総長は「美しい演説ではなく具体的な計画」を求めていた。日本は、6月に大阪で開かれたG20サミットの成果を報告する意向を伝えたが断られたようだ▼パリ協定の目標実現に向けて先進国では脱石炭の動きが加速する。石炭依存度の高いドイツでも2038年までに脱石炭化すると表明したほど。日本の厳しいエネルギー事情が斟酌される気配は薄い▼火力、原子力、再エネなど各電源には一長一短がある。安全性、環境、経済性、安定供給をバランスさせる電源構成が模索されるが、残念ながら現時点で最適解はない。その現実を踏まえた上で国際社会の潮流にどう対応するか、実に厄介な事態となっている。(19・12・2)

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