蘭DSMが個々人の健康状態に合わせた栄養摂取や健康管理を指導する「パーソナライズドニュートリション」事業の世界展開に乗り出す。この事業で注目したいのは、日本で先行してビジネスモデルを構築しつつある点だ。
 日本は超高齢社会を迎えている。それゆえ健康長寿社会の実現は重要だ。ただ健康状態や栄養摂取状況は人によって違う。健康寿命を伸ばすために補充する必要がある微量栄養素や、そのバランスも人により異なる。また日本は高齢化だけでなく、少子化も進んでいる。このため労働力人口の減少が続くとみられている。少子高齢化の進行はマイナス面ばかり強調され、対策も手詰まり感が濃いが、高齢化社会への適応を事業機会ととらえたDSMの着眼は、大いに評価されるべきだ。
 まず同社は、高機能健診スキャナー「エステック EIS/ESO」で健康状態をデータ化し、動脈硬化や心筋梗塞などの多様なリスクを検知するサービスを企業向けに行うエルステッドインターナショナル(東京都港区)と手を組んだ。健康状態を把握するエルステッドの技術と、ビタミン、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ルテイン、カロテノイドなどを幅広く手掛けるDSMの知見を融合。必要な必須栄養素を処方し、サプリメントなどを通して提供する事業が本格化する。
 これに続いて遺伝子検査「MYCODE」などのヘルスケアサービスを展開しているDeNAライフサイエンス(東京都渋谷区)と協業する。ライフログや栄養状態を把握し、食事や運動、栄養についてアドバイスするほか、個々人に合わせた情報提供などを通じ、利用者が日常的に健康を意識し、行動変容につながるようなヘルスサービスの開発を目指している。
 日本で取り組み始めたパーソナライズドニュートリションの事業化は、グループを挙げて取り組むテーマになり、健康に関するデータをリアルタイムで分析する技術を有する米Mixfit社との提携に結びついた。健康に関するデータに基づき、個々人に合ったDSMのビタミンやミネラルを処方した飲料の提供を想定している。
 海外の企業は成長市場に設備投資を続けている。ただ日本において大型の設備投資に踏み切る企業は少なく「ジャパンパッシング」の傾向は否めない。しかし新たなビジネスモデルの創出を日本がリードすることは少なくない。ジャパンパッシングで良しとするなら、商機をつかみ損ねることにもなる。その点を、より多くの人が認めるよう事例を積み重ねてほしい。

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