東京大学の合田圭介教授らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを血小板凝集塊の出現頻度で測定できることを発見した。出現頻度と患者の重症度、死亡率、呼吸状態、血管内皮機能障害の程度に強い相関があった。重症化リスクの予想や、より正確な抗血栓療法の探究、後遺症への理解など幅広い応用が見込まれる成果と言えそうだ。

 新型コロナウイルス感染症では、血栓症が重症度や死亡率に影響することが明らかになっている。研究グループは110人の患者血液を調査し、血液と予後の具体的な相関の解明を試みた。

 患者の血液サンプルをマイクロ流体チップ上で流し、特殊な高速流体イメージング技術を用いて撮影した。結果、患者の87・3%で健常者よりも過剰に循環血小板凝集塊が存在していることが判明した。また凝集塊の出現頻度と臨床検査データの比較を行った結果、全身の血栓形成や呼吸状態などとも相関していた。

 循環血小板凝集塊の出現頻度と分布を測定することが診察や治療の有効なアプローチとなることが示唆された。高速流体イメージングによる撮影は、コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)で検出できない微小血栓の発見にもつながると考えられる。今後、研究成果の実用化などに向け、細胞ビッグデータ事業などを手がけるベンチャーのCYBO(東京都江東区青海)と共同研究を進める。

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