地震の規模を示すマグニチュードが観測史上最大の9・0。最大震度7は同3回目。津波の最大遡上高が40メートルを超えた地域もあった。死者・行方不明者は1万8430人に及ぶ。そしていまなお、60体の遺体の身元が判明していない▼きょうで8年目。被災地からは復興・再生に歩む明るい話題が聞かれる一方、家族や地域コミュニティ、財産を失い、厳しい環境を余儀なくされている人も少なくない。原発事故の影響で、福島県に戻ることが出来ない3万人以上が仮の住居に暮らす▼未曾有の大災害は、社会システムのあらゆる分野に教訓を残した。防災対策の重要性は広く共有されたが、その後の施策はまだ十分ではない。身近なところでは、SNSの有用性、重要性が認識され、爆発的な普及の契機となった▼産業界はどうか。サプライチェーン寸断が、自動車をはじめとする製造業に大きな打撃となった。大企業の多くは事業継続計画(BCP)の再構築を進めたが、中小企業は6割以上が未整備という実情がある▼社会全体で見れば、3・11を機に大きく変化した領域がある一方、さしたる進歩の見られない部分もまだ残る。間もなく「平成」が終わり、5月からは新しい元号が始まる。時代区分が改められても、あの大震災を過去の出来事として遠ざけてはなるまい。(19・3・11)

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