栄養成分表示を活用して、バランスの取れた食事に役立ててもらおうとする取り組みが内閣府を中心に行われている。消費者教育の一環として、表示内容を見て消費者自身が栄養状態に合わせた食品を選んだり、機能性などの特徴を理解して使ってもらうために、学習力を高めようというものだ。実施要領の作成のための委託先の選定が今月から始まった。市場には「ヘルシー」イメージばかりで内実のともなわない食品・飲料も横行する。誰にも分かりやすいツールを導入することにより、個々の消費者が本当に有益な食品を摂取でき、さらには健康寿命の延伸につながる食環境が整備されることを期待したい。
 2013年に施行された食品表示法により、15年から容器包装に入れられた一般用加工食品、一般用食品添加物への、食品表示基準に基づく栄養成分表示が義務化された。この表示からは食品を摂取することで得られるエネルギー量、たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩の成分量の基本5項目が分かる。しかし、これら情報を上手に活用するには知識や技能が必要となる。多くの消費者は、表示を重要視することなく購入しているのが実情。
 取り組みを推進する消費者庁では、16年度から消費者向けパンフレットや、管理栄養士・栄養士・家庭科教員といった支援者向け解説書を作成し、17年度には、これらを用いた地域密着型の教育プログラムの企画、その実行、そして評価する調査事業を徳島大学を中心に実施。18年5月には、事業向けにガイドライン改訂版も策定している。18年度以降に消費者教育の全国展開に向けた準備にあたる。
 表示を義務化しても加工食品事業者の多くは中小企業で、どの程度表示が周知されているのか分からないケースもある。同庁では、速やかな表示切り替えを促す必要があるとし、自治体などの支援状況を把握するため18年7~8月に調査を行った。多くの自治体でホームページによる普及・啓発、研修会・講習会を実施、相談窓口が設置されていることもつかめた。
 ただ消費者教育の実施には、課題もある。自治体による教育推進体制の整備負担増や学習を受けるのが、時間的余裕のある高齢者層に偏り、現役世代への普及が、あまり進まない可能性もあるのではないか。消費者が自らの栄養状況を把握するには複雑な計算を要する。高齢者が苦手なスマートフォンなどの専用アプリなどが提案されても使われにくい。矛盾が生じないよう多角的視点から十分な検討を通じ、有益な取り組みへと発展することが望まれる。

つづきは本紙をご覧ください

PDF版のご案内

社説の最新記事もっと見る