現在、市街地へ設置することが制限されている「植物工場」の立地に関する用途規制緩和をめぐり、内閣府規制改革推進会議の農業ワーキンググループによる検討が始まった。緩和されれば、都市部に中規模クラスの施設設置が容易になり、新鮮で高品質な野菜や果物を迅速に市場、消費者の元へ届けることができる。都市部農業の参入機会の拡大、専門人材の育成にとどまらず、資材やシステムなどを取り扱う植物工場関連産業の成長にもつながる。さらに農業の経済価値向上、地産地消も果たせよう。ぜひ早期に実現してもらいたい。
 植物工場を耕作放棄地などに建設することに問題はないが、建築基準法上では「工場」と扱われる。植物工場が原動機を使用する工場だとすれば、都市計画法や消防法などにより、住居地域では作業場面積が50平方メートルを超える場合、また商業地域・近隣商業地域では同じく150平方メートルを超える場合、原則として建設できない。原動機について建築基準法に明確な定義はないが、建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例で「農産物の育成・管理に必要な揚水のためのポンプ用機器などの設備を原動機として扱う」と解釈されている。これが根拠になっているようだ。
 厳しく立地制限された植物工場だが、市街地に建設できる例外もある。地方公共団体が土地利用の動向を考え合わせ、計画実現のために用途地域を変更したり、条例によって特別用途地区・地区計画などのかたちで建築物の用途規制を緩和したり、さらには特定行政庁(地方公共団体や都道府県知事)が市街地で環境を害する恐れがないなどとして許可した場合である。しかし、いずれも官主導プロジェクトに民間業者が参画することに限られ、それでは植物工場の都市部への普及は難しい。
 規制緩和に向けた検討は始まったばかりで、どのような緩和策が望ましいとされるのかは今後の論議次第だ。ただ特定行政庁による許可の判断指標の壁を低くすれば、新たな農業ビジネスモデルの構築を要望している民間業者が申請しやすくなる可能性はある。
 日本園芸施設協会の調べでは2017年2月時点の植物工場の数は全国約360カ所。調査対象を1万平方㍍以上の規模としているため、都市に相応しい150平方メートル超の中規模工場は把握されていない。これから本格的な普及が期待されるわけだが、新たなスタイルの農業創出は化学企業にとってビジネスチャンスとなる。次世代型資材の開発、システム提案力の強化に積極的に取り組んでほしい。

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