「国立大学と私立大学の授業料等の推移」という文部科学省の資料がある。1975年からのデータだが、その年の国立大の授業料は3万6000円、月額にすると3000円だった。ちなみに大卒初任給は8万9000円。個人的な経済状況の差があるとはいえ、その時代の授業料は安かった▼ところが翌76年、一気に9万6000円に上がる。それからは2~3年おきに値上げが続く。そして2005年に約54万円になって以降は据え置かれているものの、43年前の実に15倍である▼ここまでの値上げは国立大学が足並みを揃えてのものだったが、その足並みが崩れる。東京工業大学が、来年度入学者から授業料をほぼ20%、10万円値上げする。国立大が学部の授業料を、標準額を超えて設定するのは初めてだ。授業料の増収によって他の国立大学と一線を画した『東工大モデル』の教育の実現を目指すという▼当然、賛否両論がかまびすしい。これをベースに他の国立大学が追随し、経済的に恵まれない家庭の子が入学できなくなる。授業料免除、奨学金など金銭的援助が充実しつつあり、入学できないことはない、等々。学長も新たな給付型奨学金創設などをコメントしている▼横並びからの脱却を試みる東工大モデルがどのような成果をあげるか。期待はもちろんだが、厳しい目も注がれる。(18・10・3)

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