メガソーラーブーム終えん以降、盛り上がりを欠く感のある太陽電池(PV)業界。2018年のPVモジュールの国内総出荷量は、17年に比べ400メガワット減の5・82ギガワットと市場の減少に歯止めがかっていない。
 PV最大手の中国ジンコソーラーが生産するモジュール量は年間10ギガワット以上。その半分程度まで日本の総需要が停滞した理由は何か。第一に固定価格買い取り制度の価格下落が挙げられるが、メガソーラー建設に適した土地の確保が困難を極めていることも、その要因となっている。この打開策として国内に20万カ所以上ある溜め池をターゲットにするなど、PV各社は未踏領域を開拓中だ。さらに、水上PVも淡水から海水にまで広げようとしている。
 ただ、この取り組みはシリコン系を中心とした現行品の需要を拡大させるための方策といえる。土地や水上以外にも、その導入先を確保しなければ、これまで以上のPV普及は期待できそうにない。「軽量で薄く、フレキシブルでありながら変換効率の高いPV」-。そんな次世代品を可能にする技術が19年に入り続々と報告されている。
 次世代品に求められるのは何といっても高い変換効率だ。シリコン系は現在、20%程度の数値だが、この効率では主力電源化には心許ない。そこでPV各社は、各種材料のセルを重ねて太陽光の吸収波長を拡大させることで、発電効率の引き上げを画策している。
 このタンデム型といわれる取り組みで、東芝が世界で初めて亜酸化銅を用いたタンデム型PVの透明化に成功した。亜酸化銅は地球上に豊富に存在する銅の酸化物。この材料で製造したPVセルをシリコンセルに重ね合わせることで、変換効率30%台の実現も見えてくるという。しかも銅の適用は低コスト化にもつながる。東芝では3年後の完成を目指すとしている。
 現行品の次に市場に出回ると予想されるタンデム型だが、その先の次々世代品ともいえるPV開発に、花王が乗り出している。中間バンド型と呼ばれる高効率PVで、液相法を用いて同PVを作製する技術を世界で初めて開発した。同社のコア技術ともいえる「液中におけるナノ界面・分散・結晶制御技術」などを活用し、コート液中に量子ドットを安定分散させることに成功。同液をスピンコートすることで、光吸収層を結晶成長させられることを確かめた。今後研究を重ね、40%台の変換効率を実現させる考えだ。
 PVのさらなる普及には、ビル側面や自動車への採用が不可欠だ。適用先を見据えた日本発のPV開発に期待したい。

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