化学品商社は近年、付加価値が高く、収益性を確保できる新規商材を取り揃えることに力を入れている。エレクトロニクスや医療・医薬、自動車など将来の成長が期待される市場に向け商材の販売にとどまらず、外部への製造委託や加工、サポートにまで踏み込む企業も増えているようだ。
 一方で従来から取り扱っている歴史ある商材で、新しい取り組みにチャレンジする企業もある。すでに日本国内では需要が横ばい、あるいは減少傾向にあり、今後の成長が見込みにくい商材でも、これまでとは異なる新しい分野や、中国や東南アジアなど海外市場において、将来的に大幅な伸びが見込まれるものも少なくない。改めて、その販売に力を入れるという動きも出始めている。
 その一例として、日曹商事が販売している「ハイクロン」が挙げられる。ハイクロンは日本曹達の水処理殺菌剤で、販売開始から半世紀近くを経ている、ある意味「古い商材」である。国内ではプール水の殺菌・消毒に使用されるが、少子化の影響などもあって今後の需要増は期待できない。
 しかしアジア市場では状況が異なる。ここ10年ほど需要は右肩上がりで、2017年度も前年度比2ケタ増を記録しているほど。同社は今後成長が見込まれる東南アジアなど海外を対象にハイクロンの販売を強化。国内で蓄積した水処理技術を生かし、アフターケアへの対応も充実していく考えだという。
 また三井化学ファインの自社製品であるヘアカラー原料も注目される。この商材も長い歴史を持ち、国内シェアは5割超。最近ではインバウンド効果とEC(電子商取引)の影響で販売量が増えているそうだ。海外市場開拓へ国内販売で培ったノウハウを活用し、小分けなど顧客が使いやすい荷姿や鮮度保持容器の導入を進めるという。
 新規商材の取り扱い強化は、化学品商社が生き残るうえで重要な戦略の一つ。その一方で、これまで扱ってきた商材の特徴を見直し、従来とは異なる新しい市場への提案に挑戦することは有益だろう。それは国内にとどまらず、進展が著しい中国や東南アジアなど新興国の市場開拓にもつながる。
 すでに国内で実績があり、さまざまなノウハウを蓄積していることから、新たな商材よりも比較的容易に海外市場にスライド可能というメリットもある。このような各社が長年構築してきた財産を活用して効率的にビジネスを展開していけば、新規テーマの開拓と合わせ、強固な事業基盤を作り上げることができるのではないか。

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