海洋プラスチックごみ問題の解決に向けイノベーションを推進する企業連合が立ち上がる。経済産業省の後押しで化学や製紙などの素材企業、食品包装を中心とした成形加工業者、さらに食品・日用品メーカーや流通業者など関連する事業者が集まり、交流や情報共有の機会を提供する。20日に会合を開き「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」(仮称)設立の準備に入った。技術マッチングのためのデジタルプラットフォームの構築や、ニーズを公表して解決策を募るコンテストの開催などを想定している。海洋プラスチックごみ対策が、イノベーションを通じて成長の契機となることに期待したい。
 例えば農林水産省が公表している「食品ロスの削減につながる容器包装の高機能化事例集」をみると、極めて身近なところでプラスチックが役に立っていることがよく分かる。食品ロス削減につながる容器包装について食品製造事業者と食品容器製造事業者から幅広く技術や手法を収集し「鮮度保持」「賞味期限の延長」「小分け・個包装」「内容物の分離性向上」「輸送時の損傷軽減」といった区分を設けて紹介している。全72事例の多くで、何らかのかたちで化学素材が活用されており、とりわけプラスチックの役割の重要性が再認識される内容だ。
 環境省が先にまとめた「プラスチック資源循環戦略(案)」では、海洋プラスチックごみ問題について「世界全体の取り組みとしてプラスチック廃棄物のリデュース、リユース、徹底回収、リサイクル、熱回収、適正処理などを行うためのプラスチック資源循環体制を早期に構築するとともに、海洋プラスチックごみによる汚染の防止を実効的に進めることが必要」としている。ここでは、2030年までに使い捨てプラスチック容器包装などの排出量を累積で25%抑制することを目標に掲げた。リユース・リサイクルについては、25年までにプラスチック容器包装やプラスチック製品を、技術的に分別容易でリユース・リサイクル可能なものとすることを目標に挙げたが「機能を確保することとの両立」を図る点が強調されている。
 プラスチック製品を従来型の紙製品などに置き換える、単なる「脱プラ」では問題の解決にはならない。プラスチックが担ってきた機能が失われてしまうのでは、プラスチック誕生以前の時代に後退しているにすぎない。求められているのは機能性を保持しながら海洋プラ対策にもつながるソリューションだ。クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンスの活動に大いに期待したい。

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