国際海事機関(IMO)は、このほど開催した海洋環境保護委員会で、国際海運の温室効果ガス(GHG)削減戦略を採択した。2008年に比べて、海運全体の燃費効率を30年までに40%改善するとともに、国際海運全体のGHG排出量を50年までに50%削減する。最終的には今世紀中の可能な限り早期にゼロを目指す。
 世界の二酸化炭素(CO2)排出量は12年時点で356億トンとされる。このうち国際海運からの排出量は8億トンで、全体の2・2%を占める。新興国などの経済成長にともなう貿易量の増大により、国際海運分野のGHG排出量は中長期的に大幅増加が見込まれ、積極的な取り組みが求められている。
 国際海運では船籍と船舶のオペレーターが異なることが少なくない。そのためGHG排出削減対策については、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における国別削減対策の枠組みには馴染まないとして、割り当てから除外し、IMOに検討が委ねられていた。
 産業革命前に比べ平均気温上昇を1・5度C以内に抑制することなどを目指す「パリ協定」が15年に採択されるなど、世界的に脱炭素化の機運が一段と高まっている。IMOは、以前からGHG削減の取り組みを積極的に推進してきた。新建造船に燃費性能基準値クリアを義付けるとともに、当該性能を「見える化」することで省エネ技術開発競争を促進する規制を13年にスタート。16年には燃料消費実績報告制度を採択し、19年から発効する。
 国際海運全体が目指すべき将来ビジョンや目標、実現のための対策などを盛り込んだGHG削減戦略についても16年から策定作業に着手。4月9日に開幕した第72回海洋環境保護委員会で、日本案を中心に最終的な合意にいたった。50年までにGHG排出量を半減させる目標の達成へ向け、ハード・ソフト両面での省エネの推進、経済的インセンティブ手法の実施、新たな燃料の導入・普及などに取り組む。また船籍上の区別なく先進国・途上国共通の対策を講じるとしたが、開発途上国に対して必要となる技術協力を行うことなども盛り込んだ。先進国と途上国を合わせて、グローバルセクターで今世紀中のGHGゼロ排出を目指す世界で初めての取り組みとなる。
 海洋環境保護委員会は日本が議長国を務める。今回のGHG削減戦略についても、多数の提案があるなかで日本案を中心に最終合意した。今後の省エネ技術の開発も日本の得意とするところだ。より存在感を高めるチャンスとなる。

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