環境省が19日に「プラスチック資源循環戦略」の素案を公表した。これに加え「プラスチック資源循環戦略」が、もう一つある。日本プラスチック工業連盟が作成を進めているものだ。来年5月の総会での取りまとめを予定しているが、環境省素案に先駆け、17日に「基本的な考え方」を発表している。海洋プラスチックに限らず、化学業界は環境問題に積極的に取り組んでいるものの、社会が問題視した時には、往々にして広報に消極的だったように思う。プラ工連に続き、化学業界団体それぞれが自らの取り組みを積極的にアピールしてほしい。
 政府のプラスチック資源循環戦略は「第4次循環型社会形成推進基本計画を踏まえ、『海洋プラスチック憲章』に掲げられた事項や数値目標も含め、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略」と位置付けられている。憲章が今年6月のG7サミットで提示された際に政府は署名しなかった。理由の一つとして当時の中川環境大臣は「経済界、産業界との調整が十分にすんでいなかった」ことを挙げた。プラスチック業界が、まるで海洋ごみ問題を後回しにしているとの誤解を招きかねない状況だっただけに、国の戦略に先んじて戦略の方向性だけでも公表することは、主体的に問題に取り組んでいる姿勢を示すうえで有効だった。
 実際、プラスチック業界は、ここにきて世論が関心を持つ以前から、海洋ごみ問題の重要性を認識し、対応を進めていた。1990年代初頭から「樹脂ペレット漏出防止対策」の推進に努めてきたし、2011年には「海洋ごみ問題解決のための世界プラスチック業界団体による宣言」に署名し、実態調査や啓発活動なども行ってきた。プラスチック資源循環戦略の策定も17年5月の定時総会で決めたもので、国よりも先だ。
 海洋プラスチック憲章においては「30年までに100%のプラスチックが再使用可能、リサイクル可能または実行可能な代替品が存在しない場合には、熱回収可能となるよう産業界と協力する」といった数値目標が盛り込まれている。「産業界との調整が必要」とされたゆえんだが、すでに日本のリサイクル率は84%にまで高まっている。また「憲章」の掲げた理念に、プラ工連が今回示した戦略の方向性は整合している。
 環境問題に取り組んでいる化学関連の業界団体は、プラ工連ばかりではない。目立たぬよう粛々と進めるのではなく、堂々と広報すればよいのではないのだろうか。世論の逆風は、おとなしくしていれば過ぎ去るようなものではない。

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