2017年度国土交通白書が先ごろ公表された。白書は第Ⅰ部と第Ⅱ部に分かれ、第Ⅰ部でライフスタイルに対する国民の意識について分析した。2012年度白書で「若者の暮らしと国土交通行政」をテーマとしたことがあったが今回、初めて全世代について「働き方」「楽しみ方」「動き方」「住まい方」に分けて分析した。
 約5000サンプルを対象にアンケート調査した結果、とくに20代が地方移住に関心があること、子育て世代がワークバランスを重視していることや、高齢社会を見据えた住まい方、駅や歩道のバリアフリー、自動運転技術などに高いニーズがあることが分かった。白書は、これらに対応する国土交通省の取り組みとして全国の空き地・空き家の利用促進や、バリアフリーによる高齢者などの優しい移動の確保などを紹介。最後に「すべての人が輝く社会の実現に向け、安心な暮らし、多様な生き方、充実した人生の実現に貢献する政策に取り組んでいく」と締めくくった。
 第Ⅰ部3章では、国土交通関連業界における女性・高齢者などの担い手の確保・育成というテーマを取り上げた。国土交通行政は多岐にわたるため、総花的になってしまうのは致し方ないが、もう少し人口減少、高齢化、労働力不足といった点に軸足を置いた分析があってもよかっただろう。
 第Ⅱ部第6章では、宅急便の再配達削減に向けた取り組みをコラムで紹介した。再配達率は国交省の今年4月調査で15・0%だった。これは年間約9万人のトラックドライバーの労働力に相当する。宅配ボックス配置など、さまざまな対策が取られているが、継続して取り組む必要がある。トラックドライバーは長時間労働だけでなく、荷主に対して立場が弱く、適正な運賃が収受できないと言われ続けている。女性ドライバーの、さらなる採用促進も求められる。働き方改革が叫ばれるなか、そうした課題にも触れた。
 物流面では、内航海運で深刻化する船員不足に言及した。船舶と船員の“2つの高齢化”を抱えて、待ったなしの状況にある。女性船員の登用も叫ばれてはいるが、男性中心の職場だったこともあって、なかなか進まないのが現状だ。さらに「3カ月乗船して1カ月休み」というシフトは、現在の若者のライフスタイルにはマッチしにくいようだ。一方、船舶の居住環境改善や食生活改善など、魅力ある職場作りに取り組んでいる企業もある。白書では、そうした地道な活動の内容を、例えばコラムなどのかたちででも取り上げてほしかった。

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