工場の生産性改善に向けた取り組みは、国内外を問わず活発に行われている。日本能率協会が発表した2018年度「GOOD FACTORY賞」の受賞対象工場の事例は、生産現場の効率化を目指している各社の参考になる。
 今回受賞したのは3カ国の5工場。化学では、総合的にレベルが高くバランスのとれた工場運営の良さを表彰する「ファクトリーマネジメント賞」に、東レのマレーシア拠点であるペンファイバー社のフィルム工場が選ばれた。同拠点は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのグローバル生産拠点かつ汎用量産品工場としての役割を担ってきたが、新興国参入による需給バランス悪化などでフィルムの品位向上や高付加価値製品への転換が不可欠になった。生産基盤強化を図ると同時に、管理者からオペレーターまで全従業員の能力向上を図り、またナショナルスタッフが主体となり事務運営や改善に取り組むような意識改革、現場マネジメントや組織面の改善を進めてきた。これらの取り組みがモチベーションや品質、技術の向上などにつながった。
 ナショナルスタッフ自立化という点では「ものづくり人材育成貢献賞」を受賞したブラザー工業の兄弟機械(西安)有限公司(中国)も評価された。中国国営企業との合弁会社で、従業員972人のうち部長職以上は日本人出向者が占めているが、その他の管理職や従業員は、すべて中国現地スタッフという。大部分である現地スタッフが中心となり、ローコスト工場からグローバル製造拠点となることを目指して企画・運営を進めてきた。人材育成活動と改善活動の一体運営も評価された。
 人材育成は「ものづくりプロセス革新賞」を受賞したNECプラットフォームズの掛川事業所(静岡県掛川市)、コマツの大阪工場・生産技術開発センタ(大阪府枚方市)でも評価ポイントに挙げられた。コマツの事例では改善指導・推進、これらを有効活用できる人を育成する機能もマザー工場として同工場が担っている。
 IoT(モノのインターネット)と現場の改善力を融合して自動化・無人化を図ったオークマの本社・DS2部品工場(愛知県丹羽郡大口町)は、自動化だけでは達成できない加工精度を補完するため熟練技能の教育を行っている。生産革新に向けてIoTやAI(人工知能)を有効活用するための検討が各社で積極的に進められている。ただ根底を支え、全社的に広げるのは人の力だ。これを組み入れた生産革新プログラムが欠かせない。

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