2年あまりベンチャーの取材に携わっている。取材した企業は150社近い。最も印象に残ったのが東北大学のベンチャー育成施設の企業群だ。さすが東北大学と思わせる尖った企業が少なくない▼C&Aはその1つ。コア技術のシンチレーターはがん診断用画像装置や資源探査、環境放射線測定などの分野で従来の課題を解決している。同社の技術力は海外で高く評価されており、欧州原子核研究機構(CERN)のヒッグス粒子に続く「存在を理論予測されているが、まだ検出されていない物質の検出を目指す」プロジェクト「Intelum」にアジアから唯一参画している。EU各国の研究機関が参画するプロジェクトにシンチレーターを提供する▼ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑・京都大学特別教授が「日本の企業は見る目がない」と手厳しい批判をしている。日本の大学などの論文がどこで特許に結びついているかを調べると米国の比率が4割だという▼本庶氏の不満は製薬産業へに対して語られたものだが、素材産業も我が身に当てはめて考えてみることは悪くはない。実際ベンチャーの取材をしていて、海外企業の方が高い評価を寄せ、実用化もそうした企業と組んだ方が早そうなケースも多々ある。目利き力の育成は急務だ。それもまたイノベーションなのだろう。(18・10・26)

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